発表! モナドが選ぶ2015年のベスト映画

一度始めるとやめられない性格ゆえに、昨年に続いて今年も選んでみました、2015年のベスト映画。

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今年は、パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督のコスプレ映画「暮れ逢い(A Promise)」から、スポ根映画の王道 ロッキーを若き俊英ライアン・クーグラー(Ryan Coogler)監督が reimagine した「クリード チャンプを継ぐ男(Creed)」まで72本の映画をご紹介しました(一覧はこちら)。その中から、厳正なる審査の結果(!)決定した今年のベストと各賞の発表です♪

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2015年は1月の「デヴィッド・ボウイ・イズ(David Bowie Is Happening Now)」を皮切りにたくさんの音楽映画が公開され、映画ファン、音楽ファンには嬉しい一年でしたが、中でも素晴らしかったのが、第1位の栄冠に輝いた「ラブ&マーシー 終わらないメロディー(Love & Mercy)」です!

<ラブ&マーシー>
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ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)絶頂期のブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)が、天才ゆえに精神のバランスを崩し、壊れていくさまを演じたポール・ダノ(Paul Dano)は見事としか言いようがありません。ブライアン・ウィルソンの人生を追体験した後に聴く、ザ・ビーチ・ボーイズの音楽もまた格別です。しばらくアルバム“ペット・サウンズ”がヘビロテ状態でした。

もう一人、この映画で強烈な印象を残したのは、ブライアンの「治療」という名目で、新曲をプロデュースしようとする精神科医ユージン・ランディを演じたポール・ジアマッティ(Paul Giamatti)。よほどそれっぽい風情なのでしょう、現在公開中の「ストレイト・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)」では念願の(?)音楽プロデューサー役だそうです。

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第2位は「マーシュランド(La isla mínima)
この映画、ご覧になっていない方がほとんどだと思いますので、どうしようか悩んだのですが、一般公開された暁にはぜひご覧になっていただきたい作品です。私は観た後、すぐまた観たくなりました。

<マーシュランド>
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2015年のゴヤ賞で主要10部門を総なめにしたスペイン映画。どうして一般公開されないのか不思議で仕方ありません。あらゆるところに仕掛けを凝らした脚本も、アンダルシア地方の湿地帯のじっとりと湿った空気さえも伝わってくる映像も非常に素晴らしく、単なるサスペンスの枠を超えた秀逸な作品です。

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そして、3位は3本です。どうにも順位が付けられませんでした。。。

まず、「アクトレス 〜女たちの舞台〜(Clouds of Sils Maria)
原題も邦題も、仰々しいというか、真面目な感じですが、ブラックユーモアが効いた笑える映画です。オリビエ・アサイヤス(Olivier Assayas)監督の新境地といった一本。

大女優のジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)に、人気女優のクリステン・スチュワート(Kristen Stewart)とクロエ・グレース・モレッツ(Chloë Grace Moretz)を絡ませて舞台映画的なコメディを創ってしまうあたりは流石です。

<アクトレス>
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こちらも音楽映画ですね。「セッション(Whiplash)
師弟関係だけで観客の気持ちをぐいっと引きつけ、そのまま最後まで突っ走ってしまう映画は、そうそうありません。

<セッション>
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J・K・シモンズ(J.K. Simmons)演じるフレッチャー教授が、あの大きなぎょろ目をさらに大きくして There are no two words in the English language more harmful than "good job"(英語に"good job"ほど有害な2語はない)と言い放つ場面。言われた方はその場で金縛りにあうしかありません。この台詞は間違いなく今年の BEST LINE です。

そして、今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞に輝いた「バードマン(Birdman)

<バードマン>
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出演者たちの丁々発止がたまらなく楽しい映画ですが、中でもバーでの演劇批評家との会話が印象に残っています。

続いて、各賞の発表です♪

★BEST 女優賞

博士と彼女のセオリー(The Theory of Everything)」でホーキング博士の献身的な妻、ジェーンを演じたフェリシティ・ジョーンズ(Felicity Jones)、「カフェ・ド・フロール(Café de Flore)」でダウン症の息子の母親という難しい役どころを熱演したバネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)、「ザ・クラブ(El Club)」の紅一点、シスターモニカを演じたアントニア・セヘルス(Antonia Zegers)といった並みいる候補を退け、見事 BEST 女優賞に輝いたのは「サイの季節(Rhino Season)」で男を狂わす美しく妖艶なミナを演じたモニカ・ベルッチ(Monica Bellucci)さん。さすがイタリアの至宝です!

<モニカ・ベルッチ>
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今月初めに公開された「007 スペクター(Spectre)」の最高齢ボンドガールとしてちょっとだけ登場していましたが、「サイの季節」で女学生から老女までを自然に演じたモニカ・ベルッチさんは、バフマン・ゴバディ(Bahman Ghobadi)監督の幻想的な美しい映像にもマッチして、強く心に残りました。

★BEST 男優賞

こちらも「博士と彼女のセオリー(The Theory of Everything)」でホーキング博士を演じ、今年のアカデミー主演男優賞に選ばれたエディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)さん、監督としてではなく男優として「エレファント・ソング(Elephant Song)」の主役を演じたグザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)さんも候補に挙がりましたが、心に染みいる切ない演技と涙を流すシーンが心に刺さった「追憶と,踊りながら(Lilting)」のベン・ウィショー(Ben Whishaw)さんに決定です!

<ベン・ウィショー>
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この方、「007 スペクター(Spectre)」のQ役ですっかりお馴染みですが、来年は エディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)さん主演の「リリーのすべて(The Danish Girl)」にも登場しますね。2016年は gender fluid / gender neutral がテーマになりそうです。

そうそう、涙で思い出しましたが、「フレンチアルプスで起きたこと(Force Majeure)」の旦那さんの号泣シーンも、ある意味、忘れられません。。。

★BEST ミュージック賞

どの曲とか、どのミュージシャンというのはなく、純粋に音楽をテーマにした映画としては「はじまりのうた(Begin Again)」が最高です。

<はじまりのうた>
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ブログにも書きましたが、「観にきて良かったな」と素直に思えるとても良い作品です。タワーレコードさんではありませんが、No Music, No Life、そして No Movie, No Life ですね。

★BEST ドレッサー賞

これはもう「コードネーム U.N.C.L.E.(The Man from U.N.C.L.E.)」で決まりでしょう。

<コードネーム U.N.C.L.E.>
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女も男も実にかっこいい!60年代のファッション、洒落てます。

★2015年特別平和賞

戦後70年ということで、戦争の悲惨さを描いた映画もたくさん公開されました。その中でも「日本のいちばん長い日」は特別です。日本を“普通の国”にするために、なんて上滑りなことを言って煽る人たちには注意しなければと改めて強く思います。

<日本のいちばん長い日>
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もう1本は今月観たばかりの「独裁者と小さな孫(The President)」です。いまの時代の“紛争のリアル”“暴力の偏在”を、仮想の国(つまりどの国にも当てはまる、どの国にも起こり得る)を舞台にさらっと描いた秀作。大統領の孫を演じた男の子のまっすぐに世界を見つめる目が忘れられません。

<独裁者と小さな孫>
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以上、モナドが選ぶ2015年のベスト映画でした。お楽しみいただけましたでしょうか?

今年もモナドのブログをお読みいただき、ありがとうございました。2016年も1月から話題の映画が目白押しです。来年もよろしくおつきあいください。

[仕入れ担当]