年末に入るとよく見かけるのが、今年の「ベスト○○」という話題。
「映画のブログ、いつも楽しみにしてますよ」というお客さまの優しいお言葉に後押しされ(?)、モナドも調子にのって選んでみました!2014年の映画ベスト5です。
今年は、硬派な「ハンナ・アーレント(Hannah Arendt)」から始まり、昨日の「サンバ(Samba)」まで65本の映画をブログでご紹介してきました(一覧はこちら)。その中でも、特におすすめの5本と、好き勝手に決めた各賞の発表です!!
まず、栄えある第1位は、「アデル、ブルーは熱い色(La vie d’Adèle – Chapitres 1 et 2)」
「ベティブルー」「ポンヌフの恋人」以来、今ひとつピンとこなかったフランス発の純愛映画。久々に濃厚な愛の話が登場しました。これぞ、フランス映画の真骨頂です。
続く第2位は「リアリティのダンス(La danza de la realidad)」! 実は、これを1位にしようか、とても悩みました。映画でしか描けない世界、アレハンドロ・ホドロフスキー(Alejandro Jodorowsky)監督しか描けない世界が炸裂。ただただ驚き、ひたすら敬服です。
そして第3位は、近年稀に見る、心に残るラブストーリー「her/世界でひとつの彼女(Her)」 。監督は違いますが、3年近く前に観た「永遠の僕たち(Restless)」と似た感覚の儚い愛のお話でした。
ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)、ホントにうまい役者さんですよね。フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)亡き後、この人しかいません。ぜひ長生きしてもらいたいです。
★第4位 「イーダ(Ida)」
映画で描かれているテーマも、モノクロームの静謐な映像も、心の奥底まで染み入る作品です。ひとつひとつのシーンの構図が計算し尽くされていて、何度も反芻してしまいます。素晴らしいの一言。
★第5位 「6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood)」
同監督による、今年はじめの「ビフォア・ミッドナイト(Before Midnight)」を含めた3部作が好きなので、こちらにするか悩んだのですが、12年以上の年月をかけて映画を創り上げていった監督の執念と、それを支えたキャストやスタッフのチームワークに1票です。
続いては、個人賞の発表です。
●BEST 男優賞
「ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)」のマシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)さん。
アカデミー賞主演男優賞を獲得した「ダラス・バイヤーズクラブ(Dallas Buyers Club)」、最近の「インターステラー(Interstellar)」と、今年は3回もお目にかかっていますが、チョイ役ながら「ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)」の彼が最高です。
ちょうどダラス・バイヤーズクラブと重なったせいで、不健康に痩せた身体と、やさぐれた感じが株屋さんの怪しげな雰囲気にぴったり。例のチャント(鼻歌)で強烈な印象を残してくれました。
●BEST 女優賞
「ゴーン・ガール(Gone Girl)」のロザムンド・パイク(Rosamund Pike)さん。
アカデミー賞主演女優賞を獲得した「ブルージャスミン(Blue Jasmine)」のケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)さんも強烈でしたが、怖さでは、この方の方が上でしょう。「ゴーン・ガール(Gone Girl)」はただ今、絶賛上映中です。まだの方は、ぜひご覧になってみてください。
●BEST マザー賞
「私の、息子(Poziţia Copilului)」の猛母コルネリア。
心に残る家族の映画では、母親の存在が大きいですよね。「8月の家族たち(August: Osage County)」でメリル・ストリープ(Meryl Streep)が演じたバイオレット、「リアリティのダンス(La danza de la realidad)」の母親サラも候補に挙がりましたが、やはりこの方でしょう。
顔も迫力ありますが、息子愛がハンパありません。息子が自動車事故で殺してしまった子どもの両親に向かって、延々と自分の息子の自慢話。雄弁過ぎます。もう、呆れるを通り越して、脱帽するのみです。
●BEST ドレッサー賞
「メイジーの瞳(What Maisie Knew)」で、主役の6歳の少女メイジーを演じたオナタ・アプリール(Onata Aprile)ちゃん。とにかくどのシーンも可愛くて、おしゃれです。
●BEST ミュージック賞
「物語る私たち(Stories We Tell)」から、Bon Iver の "Skinny Love"
ブログにも書きましたが、Bon Iverの曲が使われているのはセンスの良い映画、という個人的な法則ができつつあります。
●ついでに懐メロ賞
「フランシス・ハ(Frances Ha)」から、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の"モダン・ラブ(Modern Love)"
昨年、10年ぶりの最新アルバムをリリースして、いまだ健在のデヴィッド・ボウイ。英国に続いて米国でも話題沸騰中の彼のイベントについては、来春、ブログに書きますね。 ※追記:こちらが映画、こちらがパリの展覧会です。
●最も過小評価された映画賞
いろいろ発表されているベスト映画リストには出てこないのですが、もっと評価されてもいいと思っているのが、「悪童日記(A nagy füzet)」。人間だけに与えられた能力、想像力の凄さと残酷さを見せてくれる秀逸な作品です。
以上、モナドが選ぶ2014年のベスト映画でした。お楽しみいただけましたでしょうか?
今年もモナドのブログをお読みいただき、ありがとうございました。
来年も年明けからいろいろと観たい映画が目白押しです。淀川長治さんではありませんが、映画って、ホントにいいですね。来年もどうぞおつきあいください。
[仕入れ担当]