先々月、このブログでドキュメンタリー映画をご紹介しました、いま最もホットな展覧会のひとつ「David Bowie Is」が、今週3日からパリで開催されています。運良くパリの展示会と日程が重なり、早々に訪れることができました。
展覧会の会場は、今年1月下旬にオープンしたばかりのフィルハーモニー・ドゥ・パリ(Philharmonie de Paris)。パリ管弦楽団が本拠を置くコンサートホールです。
「オープンした」と言っても、まだ完成したわけではないようで、設計を担当したフランスの建築家ジャン・ヌーベル氏は、竣工していないのに無理矢理オープンさせたことに立腹して、オープニングセレモニーには登場しなかったとか。確かに、展覧会に訪れたときにも、まだところどころ工事中でした。
この前衛的な建物、パリ北東部19区のラ・ビレット(La Villette)公園内にあり、長引く工期、膨れあがる総工費など、いろいろと話題になっているようです。
現在コンサートホールでは、山田和樹さん指揮の「火刑台上のジャンヌ・ダルク」が上演されていて、あのフランスを代表する女優マリオン・コティヤールさんがジャンヌ・ダルクを演じているそうです。こちらもかなり気になりましたが、言葉の問題もあり、断念・・・。
前置きが長くなりましたが、David Bowie Is です。
今回は、日程との兼ね合いもあり、絶対に見逃したくなかったので、チケットは日本からオンライン予約しました。昨今はセキュリティチェックで時間がかかりますので、行かれるご予定がある方はオンライン予約をおすすめします。
この展覧会は入場時間帯が区切られています。というのも、ヘッドホンをして、展示会場内を巡るスタイルですので、時間がかかるのです。
音声が展示品とシンクロしていて、目と耳から全身全霊を傾けて体感できる展覧会です。
Starman の映像の前にはブログにも書いたジャンプスーツが飾られていて、ヘッドホンから音声が流れてくる仕組みになっています。まるで目の前でデビッド・ボウイが歌っているような錯覚に陥り、その場にくぎ付けになってしまいました。
映画のブログでも書きましたが、ステージ衣装の展示は圧巻です。David Bowie Is "Transforming" だということを改めて感じることができます。
こちらは山本寛斎さんが手がけた衣装です(展覧会場内は撮影禁止ですので図録から)。漢字でデビッド・ボウイと書かれていますが、なんだか、エネルギーが火山のごとく溢れ出てきそうですね。ビデオ映像の中で寛斎さんは、西のデビッド・ボウイと東の山本寛斎がぶつかりあって「化学反応を起こした」と語ってらっしゃいました。
手書きの作詞メモや楽譜、ポートレート等の絵画の作品もたくさん展示されています。絵画への思いは相当なものがあるようで、その才能にも素晴らしいものがあります。
中でも、三島由紀夫のポートレートは、大迫力でした。残念ながら図録にもなかったのですが、"david bowie mishima portrait"のキーワードでネット検索するとすぐ見つかります。ベルリン時代、ベッドの枕元の壁に飾っていたそうです。
最後を締めくくるのは、鋤田正義氏撮影のデビッド・ボウイの写真。EXIT only to street のコピーが実に印象的です。ステージとストリートで生きてきたことを端的に示す一枚だと思いました。
しかし、出口を出たら、それで終わりではなかったのです。スペシャルなおまけがありました。デビッド・ボウイの音楽と映像が堪能できる空間が用意されていて、真ん中のキューブ状のソファーに足を投げ出し、彼のパフォーマンスにどっぷりと浸かることができます。
Ziggy Stardust の最後のコンサートや、9.11後のニューヨークで開催した消防士や警察官の支援コンサートの映像が四方の壁いっぱいに映し出されます。その壁には、ライブで使った衣装がガラスケースのように埋め込まれているのです。
1972年から2004年の間に12の海外ツアーを行い、31ヵ国で1000以上のライブを行ってきたデビッド・ボウイですが、そのひとつひとつのステージでは、セッティングから衣装にいたるまですべてに徹底してこだわってきたことが伝わってきます。"Radically innovative live performer" と表現されていましたが、まさにその通りだと思いました。
David Bowie Is 展覧会:2015年5月31まで
http://davidbowieis.philharmoniedeparis.fr
フィルハーモニー・ドゥ・パリ(Philharmonie de Paris)
http://philharmoniedeparis.fr/
[仕入れ担当]