話題作ですね。「メメント」のクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督が手がけたSF映画です。宇宙空間で繰り広げられる壮大な物語と聞くと、3D作品かと勘違いしてしまいそうですが、「インセプション」の際も3Dのオファーを断ったと報じられていたこの監督、今回も2Dで撮っています。
とはいえ、リアリティには徹底的にこだわり、砂嵐のシーンはCGでなく実際に砂をまき散らし、氷の惑星のシーンはアイスランドまで行って撮影したそうで、迫力ある映像と、大音響の間の静けさに圧倒されました。
私は日本橋のTCXで観ましたが、間違っても「年末年始のインフライトムービで」などと考えない方が良いと思います。映画館に行き、できるだけ大きなスクリーンで観てこそ価値のある映画です。
物語の舞台は近未来の米国。環境汚染で自然が破壊され、砂嵐の襲来や疫病の流行によって、思うように作物が作れなくなっています。食糧の確保が最優先課題ですから、政府には宇宙開発の予算もありません。宇宙飛行士だったクーパーも、今は農家として、義父、息子のトム、娘のマーフと暮らしています。
マーフの部屋の本棚から本が勝手に落ちる現象があり、幽霊の仕業だと信じているマーフは、そこには隠されたメッセージがあるのではないかと考え始めます。そしてクーパーとマーフはその規則性を発見し、それが示す秘密の場所にたどりつきます。
そこにいたのはNASAの残党たち。食糧が枯渇し、人類が滅亡してしまう前に、宇宙に移住先を見つけようと秘密裏に研究を続けていたのでした。クーパーは、元上司であるブランド教授に口説かれ、プロジェクトに加わることになります。
それは、土星のそばにあるワームホールを抜けて別の銀河に到達し、そこに新天地を見つけるというプロジェクト。既に3人の先遣隊が可能性ある惑星を見つけて、そこから信号を送ってきているということ。帰還がいつになるかわからないと知ったマーフは大反対しますが、クーパーは「必ず還ってくる」と約束して宇宙に旅立ちます。
このワームホールという言葉、私は初めて聞いたのですが、時空と時空を繋ぐトンネルのようなものだそうです。
この映画では、この時間と空間の概念と、その時空に歪みを生じさせる重力がポイントになっていて、ブランド教授が人生をかけて研究しているのも、重力の方程式を解くこと。重力が制御できれば、人類を他の惑星に移住させて滅亡から救うことができるという設定です。
これは本作の科学コンサルタントを務めた理論物理学者キップ・ソーン(Kip Thorne)の研究に基づくものだそうで、そこにディラン・トマスの意味ありげな詩が重なって、なんだか難解なものに触れている気分になりますが、心配は要りません。
要するに、超重力によって時間の流れが歪められた場所で1時間過ごす間に、それ以外の場所では何年も経ってしまうというお話で、そのせいで、宇宙空間にいるクーパーの年齢を、地球上のマーフの年齢が追いこしてしまったりするのですが、それが起こり得るということさえ納得できれば、私のように科学に疎くても大丈夫です。
主人公のクーパーを演じたのが、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「ダラス・バイヤーズクラブ」と最近ノっているマシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)。やはりうまい役者さんですね。本作も彼の映画と言って良いと思います。
大人になってからのマーフを演じたのは「ツリー・オブ・ライフ」「ヘルプ」のジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)。その老後を演じたのが「アナザー・ハッピー・デイ」のエレン・バースティン(Ellen Burstyn)。
その他、クーパーと共に宇宙船にのるブランド教授の娘アメリアの役で「アリス・イン・ワンダーランド」「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)、ブランド教授の役でマイケル・ケイン(Michael Caine)、大人になった息子トムの役でケイシー・アフレック(Casey Affleck)が出演している他、途中で「プロミスト・ランド」のマット・デイモン(Matt Damon)も出てきます。
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インターステラー(Interstellar)
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