レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)が、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)を監督に迎え、後に逮捕されることになる株式ブローカーのハチャメチャな数年間を演じた作品です。
ディカプリオの他、ジョナ・ヒル(Jonah Hill)とマシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)がなかなか良い演技をしているのですが、約3時間という長い映画であることに加え、バカ騒ぎとお下劣なシーン満載で、いったいどういうシチュエーションで観れば良いのか悩んでしまいそうなところが難点。
家族で観に行くのは当然ダメですし、間違いなくデートムービーではありません。
時間つぶしのインフライトムービーとしては良さそうですが、他人に画面を覗かれたら非常にバツの悪い思いをしますので、くれぐれも気をつけてご覧になってください。
物語は、1980年代後半から90年代にかけてペニー株を売りまくったストラットン・オークモントの創業者、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort)の手記に基づくもの。彼が入社したL.F.ロスチャイルドが1987年のブラックマンデーで破綻した後、自ら株式仲介会社を設立し、いわゆるボイラールーム(片っ端から営業電話をかけてハイリスクな投資商品を売りつけること)で巨万の富を得ます。
もともとあまり上品ではない創業メンバーでしたが、ビシネスが膨らむにつれてバカ騒ぎも際限なくなっていきます。酒やドラッグでボロボロになりながらも、FBIに捕まるまで爆走し続けるジョーダン・ベルフォート。
出所後は、現在に至るまでモティベーショナル・スピーカー(いかにも怪しげですね)として活躍しているそうですが、むかし流行った自己啓発セミナーのような語りで社員を鼓舞するあたり、ディカプリオの演技はなかなかのものだと思います。ブラック企業の幹部は必見です。
また、株を売りつけるコツ(?)をベルフォートに教えるLFロスチャイルドのトレーダー、マーク・ハンナ(Mark Hanna)を演じたマシュー・マコノヒーは、短い出演の割に強烈な存在感を発揮しています。
特に、エンディング曲にも使われている妙な鼻歌(The Money Chant)。いつもマシュー・マコノヒーが演技に入る前に行っている儀式を映画に取り込んだものだそうですが、この異常な世界を端的に表現していてとても印象的です。
彼は、現在上映中の「ダラス・バイヤーズクラブ」でも非常に素晴らしい演技を見せていて、今年のアカデミー主演男優賞を獲得しそうですが、そちらの映画でも妙な鼻歌を歌っていますので、興味がある方は注意してご覧になってみてください。
それから、ストラットン・オークモントの副社長だったドニー・アゾフ(本名はDanny Porush)を演じたジョナ・ヒル。何が何でもスコセッシ作品に出たくて、SAG協定の最低額で出演したそうですが、その思いが伝わってくるような熱演でした。
そういえば「アーティスト」のジャン・デュジャルダン(Jean Dujardin)もスイスの銀行家の役で出ています。
いずれにしても、3時間のうち2時間以上は彼らのハチャメチャに付き合わされる映画です。確かに彼らの乱痴気騒ぎは派手ですが、同じ頃、ニック・リーソン(ベアリングス銀行を潰した人です)たちは紀尾井町あたりで似たような乱痴気騒ぎをしていたようですし、ところ変わっても、あの業界はあの業界、ということで……。
公式サイト
ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)
[仕入れ担当]