映画「ダラス・バイヤーズクラブ(Dallas Buyers Club)」

0 このところ、実話ベースの作品ばかりが目立つ米国映画ですが、これも実在のエイズ患者が、米国内に未承認薬を持ち込むためにFDA(食品医薬品局)の規制と闘っていく物語です。

ベースになったのは、1992年にDallas Life Magazineの記者Bill Minutaglioが執筆した"BUYING TIME"という記事。こちらのサイトに新聞の画像へのリンクがあります。

映画は、ダラスのマッチョな気風が染みついた電気技師ロン・ウッドルーフが、当時、ゲイの病気だと思われていたAIDSに感染したことで、さまざまなことを学んでいくというストーリー。

そこらのゴロツキのようなカウボーイだった男が、薬剤をとりまく規制や巨大な権力と闘いながら、セクシャリティの問題まで乗り越えていきます。挿入歌に何曲かT-Rexの曲が使われていますが、まさに"Life Is Strange"といった映画です。

1

冒頭、ロデオ場でイカサマ賭博をした金で娼婦を買っているシーンでスタート。飲む、打つ、買う、ドラッグで埋め尽くされた、その日暮らしの人生がひと目で見て取れます。

しかし、現場で感電し、運び込まれた病院で血液検査を受けたことから、HIVポジティブであることがわかります。ときは1985年。新聞では、AIDSを発症した俳優のロック・ハドソン(Rock Hudson)が、タフガイのイメージとは裏腹にゲイであることをカミングアウトした事件が報道されています。

ロン・ウッドルーフとしては、自分がそんな病気になるとは到底思えません。しかし図書館で調べていくうちに、ゲイでなくても感染する病気であること、自分の症状が一致することを知って現実を受け入れるようになります。

医者から宣告された余命は1ヶ月。雑誌の記事でみたAZTという新薬が効きそうですが、FDAの承認を得るための治験段階ということで病院では処方してもらえません。裏から手を回して薬を入手するのも難しくなってきて、国境を越えてメキシコで手に入れることにします。

そこで出会ったドクター・ヴァスが、米国では未承認ながら、AZTより毒性が低い薬剤があると教えてくれます。そうやって運び込んだ薬剤を、他のエイズ患者にも分け与えようと思い立ったロン・ウッドルーフ。会費を払えば、自己責任で薬剤を選んで自由に入手できるダラス・バイヤーズクラブという会員組織を作り、世界中を飛び回って米国内では入手できない新薬をかき集めます。

4

その仕事のパートナーに選んだのが、トランスジェンダーのレイヨン。AIDSという大きな敵ができ、その治療薬を入手するために闘うロン・ウッドルーフにとって、もはやゲイは偏見の対象ではなかったのです。

2

そのロン・ウッドルーフを演じるために体重を20キロ以上落として撮影に臨んだというのがマシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)。

彼の演技は、ただただ素晴らしいの一言です。今年のアカデミー賞にノミネートされていますが、彼が受賞しなくてどうする?という迫真の演技でした。

6

相棒のレイヨンを演じたのがジャレッド・レト(Jared Leto)。彼もAIDS患者の役ですから、やはり体重を20キロ近く落としたようですが、その役者根性よりも、女装の美しさの方が鮮烈な印象を残します。特に脚線美。膝のあたりなど、とても男性の脚とは思えません。

5

彼もアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされていますが、ぜひとも主演男優賞と助演男優賞をダブル受賞して欲しいものです。

公式サイト
ダラス・バイヤーズクラブDallas Buyers Club

[仕入れ担当]