発表!モナドが選ぶ2016年のベスト映画

2016年は「禁じられた歌声(Timbuktu)」から「マイルス・デイヴィス 空白の5年間(Miles Ahead)」まで65本の映画をご紹介してきました(一覧はこちら)。

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今年はホントに秀作が多く、選考も難航しましたが、厳正なる審査(!?)の結果、決定した今年のベストと各賞の発表です!(2015年版はこちら

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たくさんの素晴らしい映画の中で、堂々の第1位を獲得したのは、トルコ出身の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュベン(Deniz Gamze Ergüven)による長編デビュー作「裸足の季節(Mustang)」です!!

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邦題だけ見ると少女映画のように見えますが、とても美しく、とても深い映画です。今の時代だからこそ、すべての女性、とくに若い女性、そして若い男性にも観ていただきたいと思います。ちょうど、東京でしたら飯田橋の名画座ギンレイホールで来年1月6日まで上映されていますので、チャンスがあれば是非!

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第2位はカルロス・ベルムト(Carlos Vermut)監督の、こちらも長編デビュー作「マジカル・ガール(Magical Girl)」。

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メジャーな映画祭での受賞歴もありませんし、1位の「裸足の季節」同様、有名な俳優が登場するわけでもありませんが、スペイン映画らしい奇想天外な部分を保ちつつ、ストーリーもしっかり。映像も完成度が高く、なによりも独特の世界観があります。

1位と2位の監督、次作がとても楽しみです。

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第3位は大御所トッド・ヘインズ(Todd Haynes)監督による「キャロル(Carol)」。

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ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)とルーニー・マーラ(Rooney Mara)の2大女優による見事な共演、完ぺきなセットに完ぺきな脚本と、匠の技を感じさせる1本。原作となったパトリシア・ハイスミスの小説も1950年代に書かれたとは思えない現代感覚です。

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そして第4位は、パオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino)監督の「グランドフィナーレ(Youth)」。とにかく圧巻の映像美です。映像賞なら間違いなく第1位!

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以前から映像美では定評のあるソレンティーノ監督ですが、若さに執着する老いらくの人々をテーマにした今回の「グランドフィナーレ」は、これまでの作品に比べてストーリーもわかりやすかったと思います。

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第5位は、2010年ブッカー賞の最終候補に残った同名小説を映画化したレニー・アブラハムソン(Lenny Abrahamson)監督の「ルーム(Room)」。

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ベストセラーになった小説を映画化すると、帯に長し、たすきに短しという感じになるものが多かったりしますが、この映画は主演のブリー・ラーソン(Brie Larson)と子役のジェイコブ・トレンブレイ(Jacob Tremblay)の二人の素晴らしい演技でとても感動的な映画に仕上がっています。

続いて各賞の発表です!

★BEST 女優賞

リリーのすべて(The Danish Girl)」や「エクス・マキナ(Ex Machina)」で可愛らしさと強さを演じたアリシア・ヴィキャンデル(Alicia Vikander)さん、円熟の味わいで魅せた「さざなみ(45 Years)」のシャーロット・ランプリング(Charlotte Rampling)さん、「ブルックリン(Brooklyn)」の瑞々しい演技が光ったシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)さん、「アスファルト(Asphalte)」の「クス♪クス♪」が耳に残るタサディット・マンディ(Tassadit Mandi)さんも候補に挙がりましたが、予想通り女優賞を獲得したのは、「キャロル(Carol)」のルーニー・マーラ(Rooney Mara)さん。ハリウッドでこれほど透明感のある女優さんは珍しい。

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自分がレズビアンであることを大人の女性との関係を通して自覚し、苦悩していくという難しい役どころを見事に演じきっています。

★BEST 男優賞

ロブスター(The Lobster)」で抑えた静かな演技が印象的だったコリン・ファレル(Colin Farrell)さんも気になりましたが、やはり、この人しかいません。「レヴェナント 蘇えりし者(The Revenant)」のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さん。

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男優賞というより、功労賞をあげたい。念願のアカデミー賞が獲れたわけですが、その執念を感じさせる渾身の演技でした。撮影監督エマニュエル・ルベツキ(Emmanuel Lubezki)さんの映像も素晴らしかったですね。

★特別審査員賞

惜しくも BEST5にはランクインしませんでしたが、秀逸なスペイン語映画2本です。

まず「スモーク アンド ミラーズ(El hombre de las mil caras)」は昨年2位に選ばれた「マーシュランド」の監督の作品です。どちらも日本では特別上映のみなのが本当に残念。ちゃんと公開すべきです。

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もう1本は「エル・クラン(El Clan)」で、こちらはペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóvar)の El Deseo が製作で参加し、昨年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞しています。ある家族の「あり得ないほどの結束力」を描いた実話ベースの作品。最後の最後まで観客を惹きつけ、エンドロールで驚愕させる作り込まれた映画です。

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★BEST ドレッサー賞

キャロル(Carol)」でゴージャスな毛皮やジュエリーを着こなしていたケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)や「胸騒ぎのシチリア(A Bigger Splash)」でラフ・シモンズ(Raf Simons)の衣装をまとったティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)も素敵でしたが、映画全体としてのオシャレ度は「ジュリエッタ(Julieta)」で決まりでしょう。

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ペドロ・アルモドバル監督(Pedro Almodóvar)の色彩感覚は天才的です。

★BEST ミュージック映画賞

80年代懐メロがてんこもりの「シング・ストリート 未来へのうた(Sing Street)」、イーサン・ホーク(Ethan Hawke)の名演が魅力的な「ブルーに生まれついて(Born to Be Blue)」 も候補に挙がり、エイミー・ワインハウス(Amy Winehouse)の激烈な人生を追ったドキュメンタリー「AMY エイミー」と最終選考を争って、見事BESTを獲得したのは、米国の伝説的ヒップホップグループNWAの結成から分裂までを描いた映画「ストレイト・アウタ・コンプトン(Straight Outta Compton)」。

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ヒップホップのことは何も知らなかった私さえ魅了される、まさに “attitude” を感じさせる映画です。

★もっと評価されても良いで賞

ダニー・ボイル(Danny Boyle)監督の「スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)」。ほとんど話題になりませんでしたね。

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でも、すごく面白いです。パリの展示会へ行く機内で改めて観ましたが、やっぱり面白い! 観る度に発見があります。数十年来のMacintoshユーザーとしても1票を投じたい!

ということで、以上、モナドが選ぶ2016年のベスト映画でした。

今年もモナドのブログをお読みいただき、ありがとうございました。2016年は女優が輝く映画が多かったと思いますが、来年も女性たちの活躍が続きます。楽しみですね。2017年もどうぞよろしくおつきあいください。

[仕入れ担当]