映画「二ツ星の料理人(Burnt)」

00 腕っこきのシェフがトラブルを起こしてパリを追われ、いっとき身を潜めていたものの、やはり三ツ星を狙いたいとロンドンで再起を図る物語です。

世界にひとつのプレイブック」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」あたりから急浮上し、「アメリカン・ハッスル」「アメリカン・スナイパー」と絶好調のブラッドリー・クーパー(Bradley Cooper)が、狷介な性格ゆえにチーム作りに苦労する天才シェフのアダム・ジョーンズを演じます。

共演は「アメリカン・スナイパー」「フォックスキャッチャー」など話題の近作で重要な役を演じているシエナ・ミラー(Sienna Miller)と、「コッホ先生と僕らの革命」「エヴァ」「誰よりも狙われた男」「黄金のアデーレ」と、どんどんメジャーになってきたダニエル・ブリュール(Daniel Brühl)。

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その他「ミックマック」「最強のふたり」「サンバ」のオマール・シー(Omar Sy)と、「コードネーム U.N.C.L.E.」「リリーのすべて」「エクス・マキナ」のアリシア・ヴィキャンデル(Alicia Vikander)が重要な脇役を演じるほか、端役っぽい感じでユマ・サーマン(Uma Thurman)と、「パイレーツ・ロック」「17歳の肖像」のエマ・トンプソン(Emma Thompson)という二人の大御所が登場します。

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監督は「8月の家族たち」のジョン・ウェルズ(John Wells)で、脚本は「堕天使のパスポート」のスティーブン・ナイト(Steven Knight)。ゴードン・ラムゼイグループ出身のスターシェフ、マーカス・ウェアリング(Marcus Wareing)が調理コンサルタントを務めたようです。

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映画の幕開けは、せっせと牡蠣を開く調理人の手元。せっかくチャンスを与えてくれた恩師ジャン=リュックの期待を裏切り、パリから出奔したアダム・ジョーンズは、罰として自分に100万個の牡蠣のカラ開けを課します。なぜ牡蠣なのかといえば、牡蠣と林檎は神の創造物だから余計な手を加えるなというのがジャン=リュックの教えだから。そうしてせっせと生牡蠣を皿に盛り続けるわけです。

100万個の牡蠣を開け、米国のニューオーリンズから英国のロンドンに渡ったアダムは、彼が二ツ星を獲得させたレストランでメートル・ド・テルを務めていたトニーに会いに行きます。父親に出資させたパリの店を閉め、今はロンドンで父親が経営するホテルのレストランを仕切っているトニー。アダムの私生活のせいで閉店を余儀なくされたわけですから、すんなり受け入れるはずもありません。

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アダムは旧知のレストラン批評家シモーネに頼み、トニーのレストランに訪問してもらいます。シモーネの来店に気付いたトニーは、厨房に駆け込んで味見しますが、これではボロクソに書かれるのが火を見るより明らか。タイミング良く裏口から現れたアダムに調理を任せ、それを満足げに口にするシモーネを見てしまえば、彼を雇わざるを得ません。

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このチョイ役のシモーネを演じたのがユマ・サーマン。トニーを演じたのがダニエル・ブリュールで、彼が経営するレストランのロケ場所はロンドンのホテル・ランガム(The Langham)のダイニングです。映画ではふらっとウォータールー橋に出掛けますが、実際にはちょっと遠いですね。

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それはさておき、トニーを味方につけたアダムは、オマール・シー演じるパリ時代の同僚ミシェルや、シエナ・ミラー演じるシングルマザーのエレーヌを引き入れ、彼の名を冠したレストランの開店に漕ぎ着けます。しかし、パリ時代のトラブルが未だ解決していない上、完璧を求めるアダムは厨房内で対立しがち。さらに、彼が米国にいた数年間で調理法のトレンドが大きく変わっています。そんな状態で果たして三ツ星を獲得できるのか、と展開していくドラマです。

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もちろん見どころは、ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ダニエル・ブリュールの共演。これが密かに三角関係に行き着くあたりや、いつも善良な役どころのオマール・シーが違った面を見せるあたりで、物語に緩急をつけています。とはいえ、非常にシンプルなストーリですので、リラックスした気分で美しい料理を眺めながら楽しむ映画だと思います。

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公式サイト
二ツ星の料理人Burnt

[仕入れ担当]