映画「世界にひとつのプレイブック(Silver Linings Playbook)」

Playbook0 ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)が主演女優賞を獲りましたね!個人的には「ウィンターズ・ボーン」でノミネートされたときの演技の方が凄かったと思いますが、通常は観ない「ハンガー・ゲーム」のような映画まで追っかけた私としては、彼女のアカデミー賞は嬉しい限りです。

さてこの「世界にひとつのプレイブック」は、一昨年の「英国王のスピーチ」、昨年の「アーティスト」に続き、今年もワインスタイン・カンパニーがアカデミー賞を狙ってきたと言われていた作品(結局「アルゴ」でしたね)。

それだけに期待が盛り上がるわけですが、内容は、といえば、よくあるロマンティック・コメディ。それもかなりベタな設定で、何か裏があるんじゃないの?と思ってしまうほどシンプルなお話です。

とはいえ、監督は「ハッカビーズ」「ザ・ファイター」と、どんどん評価が高まるデヴィッド・O・ラッセル(David O. Russell)ですから、ご覧になればわかるように、隅々まできっちり仕上がっています。どこかの国の、最初の5分でうんざりするようなラブコメとは、ひと味もふた味も違います。

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さらにキャストが豪華。ジェニファー・ローレンスの相手役のブラッドレイ・クーパー(Bradley Cooper)は、まぁ良いとして、彼の父親役がロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)。

この映画は、心の傷を負った2人のラブストーリーなのですが、ロバート・デ・ニーロのご子息も双極性障害(bi-polar)と診断されているそうで、リアルな父親像が表現できたということです。

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そして母親役がジャッキー・ウィーヴァー(Jacki Weaver)。ジェニファー・ローレンスは、この2人に初めて会ったとき、思わず「どうしよう、私、アニマル・キングダム大好きなの」と口走ってしまったと、インタビューで答えていましたが、いつまでも印象に残る、とても存在感のある女優さんです。

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そんな、カタギとはちょっとズレた雰囲気の夫婦と、妻の浮気相手をボコボコにして病院に入れられ、自宅治療ということで退院してきた息子、ブラッドレイ・クーパー演じるパットの家族を軸にした物語です。

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ジェニファー・ローレンス演じるティファニーは、パットの友人夫婦の妹。夫を失い、自暴自棄になっていた時期もありましたが、今は立ち直ろうとしている状態です。

そんなティファニーがパットと出会い、彼に惹かれていくのですが、パットは別れた妻を忘れられず、接触することを法的に禁じられているにもかかわらず、何とか復縁したいと願っています。

心が壊れている同士のラブストーリーですので、一歩間違えると、ひどいお話になりそうですが、さすがワインスタイン・カンパニーです。脚本がよく練られていて、会話の面白さをバネにして小気味よく展開していきます。

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ちなみにプレイブックというのは、アメリカンフットボールでフォーメーションなど作戦をまとめた本のことだそう。Silver Liningというのは、雲の向こう側から陽光が差して、雲の周縁が光っている状態のことですので、原題を直訳すると、希望の兆しの作戦帳、といったところでしょうか。

そんな前向きの映画ですから、映画館でご覧になっても、ご自宅でご覧になっても、飛行機でご覧になっても、きっと気持ちよく楽しめると思います。

公式サイト
世界にひとつのプレイブックSilver Linings Playbook

[仕入れ担当]