映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(Only Lovers Left Alive)」

Onlylovers0 特にファンでもないのに、なぜかいつも観てしまうジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督の最新作です。ヴァンパイア・ストーリーと聞いて気持ちが退けていた本作も、たまたまタイミングが合って、ふらっと映画館に吸い込まれてしまいました。

前作「リミッツ・オブ・コントロール」を観たときは、工藤夕貴さんがヘレナ・ローナー(Helena Rohner)の白いピアスを着けていて狂喜乱舞(!?)したのですが、もうあれから4年以上経つのですね。寡作な監督です。

主演が「少年は残酷な弓を射る」「ミラノ、愛に生きる」のティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)と「ミッドナイト・イン・パリ」でフィッツジェラルドを演じたトム・ヒドルストン(Tom Hiddleston)。

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そこに「キッズ・オールライト」「永遠の僕たち」「イノセント・ガーデン」とぐんぐん存在感を高めてきたミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)が絡んできて、「メランコリア」「裏切りのサーカス」の名優ジョン・ハート(John Hurt)が脇を固めます。

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この豪華キャストとスタイリッシュな映像があいまって、他愛ないストーリーの割に、とても良い映画を観たような気分にさせてくれる作品です。ちなみにティルダ・スウィントンとジョン・ハートは前作「リミッツ・オブ・コントロール」に続く出演になります。

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ティルダ・スウィントン演じるイブと、トム・ヒドルストン演じるアダムは吸血鬼の夫婦。イブはモロッコのタンジール、アダムは米国のデトロイトで暮らしていますが、世界を汚染し破滅に導く人間たちにウンザリしている様子のアダムを見かね、イブが米国にやってきます。

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そこにミア・ワシコウスカ演じるイブの妹、西海岸で暮らしていたエヴァが現れ、一時は好転するかに見えた事態がめちゃくちゃに・・・。

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吸血鬼といってもいろいろありますが、この映画で描かれているのはドラキュラ的なヴァンパイアですので、夜間しか行動できませんし、出演者を見ればおわかりのように、全員、イギリス英語を喋ります。そのあたりの設定をうまく活かし、ジャームッシュらしい洒落た映画に仕上げているわけです。

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ちょっとわからなかったのが木製の銃弾。ヘレナ・ローナーの指輪(たとえばコレ)にも使われているココボロという硬質の木を使うのですが、ドラキュラを倒すのは銀の銃弾だったような・・・。いずれにしても、前作に続いてヘレナ・ローナーを思い起こさせてくれる監督です。

もちろん映画の見所は、どのシーンを切り取っても絵になる、カッコいい映像。デトロイトの寂れた街並みも素敵ですが、タンジールの夜の路地は最高です。

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また、カフェのシンガー役にヤスミン・ハムダン(Yasmine Hamdan)を起用してフルコーラス歌わせるあたりは、さすがジャームッシュ。相変わらず音楽のセンスも抜群です。

公式サイト
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

[仕入れ担当]