映画「イミテーション・ゲーム (The Imitation Game)」

I0 コンピューターの父と称される数学者、アラン・チューリングの生涯を描いた作品です。

伝記映画というと、事実関係にこだわるあまり、鑑賞後の満足度が今ひとつといった作品も少なくありませんが、本作は脚本を書いたグレアム・ムーア(Graham Moore)がアカデミー脚本賞を獲得しているだけのことはあって、しっかり作り込まれており、映画ならではの愉しみを堪能できると思います。

また実力派のキャストたちも見どころのひとつ。主人公のアラン・チューリングを演じたのは、「戦火の馬」「裏切りのサーカス」「それでも夜は明ける」「8月の家族たち」のベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)で、彼のじわっと切なさが滲む演技は見事としか言いようがありません。

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また、暗号研究者としてチューリングを助けたジョーン・クラークを、「はじまりのうた」の感動が記憶に新しいキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)が演じています。4年前の「わたしを離さないで」の時と同じように、あまり出しゃばらず、それでいて存在感を示す素晴らしい演技です。

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そして、チューリングと共に暗号解読に挑むチェスチャンピオン、ヒュー・アレグザンダーを演じたのが、「シングルマン」「イノセント・ガーデン」のマシュー・グード(Matthew Goode)。端正な顔立ちと大きな瞳が謎めいた雰囲気を生み出し、物語に緊張感を与えています。

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第二次大戦中、英国政府暗号学校(GC&CS)のアラステア・デニストン(Alastair Denniston)校長は、アラン・チューリングやヒュー・アレグザンダーといった専門家たちを、当時、暗号学校があったブレッチリー・パーク(Bletchley Park)に招聘します。

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その目的は、ドイツの暗号機エニグマを解読すること。英国が戦争を継続するためには、米国からの補給線を保つことが必須でしたが、Uボートによる輸送船の撃沈が続いており、エニグマによって暗号化されたドイツ軍の指令を解読することが急務だったのです。

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映画では、エニグマ解読に奮闘するアラン・チューリングの姿と、シャーボーン校(Sherborne School)で過ごした10代のアラン・チューリングの姿が交互に描かれます。特に、この名門パブリックスクールでうまく居場所を見つけられず、風変わりな子どもとして苦渋をなめたことに重点が置かれていて、それが後の人格形成に与えた影響を示唆しながら物語が進んで行きます。

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ですから、10代のアラン・チューリングを演じた子役もとても重要なのですが、1995年生まれのアレックス・ロウザー(Alex Lawther)がこれを好演しています。ちなみに彼はこの役でロンドン映画批評家協会の英国若手俳優賞(Young British Performer of the Year)を受賞しています。

この他、アラステア・デニストン役で「スイミング・プール」のチャールズ・ダンス(Charles Dance)、MI6のスチュワート・メンジーズ(Stewart Menzies)長官役で「裏切りのサーカス」のマーク・ストロング(Mark Strong)、刑事役で「007シリーズ」のロリー・キニア(Rory Kinnear)が出ています。

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公式サイト
イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密The Imitation Game

[仕入れ担当]