映画「グッド・タイム(Good Time)」

00 観たいと思いながら見逃してしまった「神様なんかくそくらえ」の監督、ジョシュ&ベニー・サフディ(Benny & Josh Safdie)兄弟の2作目です。こういうB級っぽい作品は、気になるとき=観るべきとき。後追いで観ることは99%ありませんので、新宿の遅い時間の上映を無理やり観てきました。

主役は、近作「シークレット・オブ・モンスター」も、その前のクローネンバーグ監督の2作も、演技の良し悪し以前に映画の出来が今ひとつという作品を選びがちなロバート・パティンソン(Robert Pattinson)。なかなか「トワイライト・サーガ」から抜け出せず、せっせとインディーズ系の作品にトライ(「ディーン、君がいた瞬間」はそれなりに良かったのですが・・・)している英国俳優です。

原題の“Good Time”は、模範囚の仮釈放を指す刑務所のスラングだそうです。その仮釈放になった男を演じるのが、前作でも麻薬の売人を演じていたというバディ・デュレス(Buddy Duress)。実生活でも、ドラッグ絡みで捕まってライカーズ島の矯正施設(DOC)にいたそうで、本作でもLSDを巡ってウロウロする正体不明の男の役です。

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映画は、監督の1人でもあるベニー・サフディ演じる知恵遅れの男ニックが、精神科医から知能テストを受けている場面からスタート。そこにロバート・パティンソン演じる兄のコニーが登場し、オマエを理解しているのはオレだけだ、というようなことを言って、カウンセリングルームから連れ出します。

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そして2人で銀行強盗。その経緯は特に描かれませんが、おそらく、カネさえあれば苦境を抜け出せる、といった程度の単純な考えなのでしょう。

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強盗はうまくいったものの、欲張ったせいで紙幣と一緒にダイパックを入れられてしまいます。それが逃走用に雇ったuberの中で破裂し、噴出した染料で真っ赤に染まったまま逃げ回ることになるのですが、結局、ニックは警察に捕まってしまいます。

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コニーは、盗んだ金を保釈保証金にして弟を保釈させようとします。しかし、1万ドル不足だと突き放されてしまい、母親が金持ちのガールフレンド、コリーに頼み込むのですが、彼女の親がカードを停めてしまってうまくいきません。そうこうしている間に、ニックは留置所で喧嘩をして病院に搬送されます。

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それを知ったコニーは、病院からニックを連れだそうと病室に忍び込み、見張りの警官の目を盗んで車いすに乗せて病院から逃亡します。2人を運んでくれたアクセサライド(Access-A-Ride)の運転手を言いくるめ、同乗していた患者の家に身を隠したたところまでは良かったのですが、そこで弟だと思って連れてきた男がまったくの別人だったことに気付きます。それが、バディ・デュレス演じる一癖も二癖もある面倒な男で、彼との出会いによって事態がさらに悪化していくのです。

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そんな感じでちょっとダークなドタバタ喜劇が繰り広げられるのですが、本作でカンヌ映画祭のサウンドトラック賞を獲ったワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(Oneohtrix Point Never)のエレクトロニック系BGMのおかげもあって、ダレることなく小気味の良い展開を見せます。

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エンディングはイギー・ポップが参加したスローな曲で、声に味わいがあるだけでなく、映像とうまく融合して暴走気味のストーリーをうまく着地させています。弟を知恵遅れという設定にしたのは、この場面を撮りたかったからでは?と思うようなエンディングです。

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上に記した以外の出演者としては、だいぶ年上のガールフレンド、コリー役で「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リー(Jennifer Jason Leigh)が出ている他、遊園地の警備員の役で「ブレードランナー 2049」で木馬の材質を調べる男、というより「キャプテン・フィリップス」の海賊といった方がわかりやすいかも知れませんが、バーカッド・アブディ(Barkhad Abdi)が出ています。

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公式サイト
グッド・タイムGood Time

[仕入れ担当]