奈良美智の作品は、いたるところで目にするようになりましたが、セラミック作品というのは珍しいのではないでしょうか。先週、現代美術のメッカともいえる清澄白河「小山登美夫ギャラリー」で陶器の立体作品を見てきました。アニッシュ・カプーアの記事でも少し触れましたが、小山登美夫氏はSCAI THE BATH HOUSEで奈良美智の初期の個展「深い深い水たまり」を企画した人でもあります。
清澄庭園の傍らにある倉庫ビルの6階と7階がギャラリー。殺風景な玄関を抜け、一度に1フロアのボタンしか押せない荷物運搬用のエレベーターを7階で降りると、「Anymore For Anymore」と題された大きな花瓶のような作品(写真)に迎えられます。片面は目を閉じた顔、もう片面には目を開けた顔があるのですが、その周囲を何度も回って見てしまうほど惹かれる表情です。
壁には3点のドローイングがあり、横の部屋に巨大な白い作品「White Riot」が鎮座しています。そして、奥の部屋にもまた数点のセラミック作品があります。正面にはゴールドに塗られた「森子」、その両脇には、シルバーの「おたふく2号」、アタマにバンダナを巻いたゴールドの「おたふく1号」。奥の方には、壁から突き出た棚のようなところにのせられた「The Little Thinker」という白くて小さな作品(写真)。これはサイズといい、質感といい、ちょっと欲しくなる感じです。
6階に降りると、今度は陶器の壺の作品がたくさん並べられています。これら7階と6階で展示されている作品は、昨年2月から信楽の「滋賀県立陶芸の森」で滞在制作されたものだそうです。とても魅力的な作品ばかりですので、まずはギャラリーのサイトに掲載されている写真をご覧になってみてください。
すぐ隣のギャラリー「キドプレス」では「奈良美智 + ジョン カリン 展」が開催されており、数点のエッチング作品が展示されています。また、同じ階の並びにある「タカイシイギャラリー」では、6月5日まで「荒木経惟 古希ノ写真」展が開催中。これもなかなか興味深い作品ばかりで、一見の価値ありです。お天気の良い昼下がり、東京都現代美術館とセットでお出かけになるのも楽しいかと思います。
奈良美智セラミック・ワークス
2010年06月19日まで
小山登美夫ギャラリー
江東区清澄1-3-2 6・7階
http://www.tomiokoyamagallery.com/
[仕入れ担当]