昨晩はシンディ・ローパー(Cyndi Lauper)の東京公演最終日に行ってきました。私にとってはエルヴィス・コステロ以来、ほぼ1年ぶりのオーチャードホールです。
昔からチャリティに熱心だったシンディ。昨年3月、多くのネガティブな言説が飛び交うなか、予定通りに日本公演を決行したことで、復興に向けたアイコン的存在になりました。
昨日3/11のコンサートは、東北3県4カ所の映画館に無料配信された他、全国の劇場に生中継されており、その収益は義援金にあてられるそうです。
5分ほど遅れて、通訳がわりのスタッフの女性(ワカバさんというらしい)を伴ってステージに現れたシンディ。上記のお話と、東北の方々に向けたメッセージと語るうちに感極まってきたり、人情味溢れる魅力的な人です。
こう書くと、しんみりしたコンサートのようですが、そこはシンディのステージ。1曲目の She Bop が始まった瞬間から会場内は総立ちです。客席に降りてきて踊りまくるし、最初からたいへんな盛り上がり。
1曲はさんだ後、シンディがアコースティックギターを抱え When You Were Mine を弾き語り。続いて、去年のコンサートで急遽歌ったという What’s Going On。元々は、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)がベトナム戦争で混迷を極めていた米国で歌ったメッセージソングですから、もちろん、彼女の思いと重なるところがあるはずです。
そして、最新アルバム Memphis Blues からの曲の後、再びステージにワカバさんを呼んで、観客に語り始めます。
私がレコードを出す前の almost famous だった頃、NYのジャパニーズレストランで働いていました。MIHOというお店。おしぼりとか、お水とか、水割りとか、言葉を覚えました。そこでギタリストが教えてくれた日本語の歌を歌います。オールド・オバーチャン・ソングだけど、少し現代的にアレンジしています。
これが「忘れないわ」という歌なのですが、シンディの力強い声で歌い上げると、昭和の歌謡曲そのもの。そこにチャーリー・マッセルホワイト(Charlie Musselwhite)のハモニカ、というよりブルースハープといった方が適切なのかも知れませんが、彼の伴奏が加わって、ますますムード歌謡の雰囲気。オーチャードホールというよりコマ劇場という感じです。
ちなみに、チャーリー・マッセルホワイトはブルースハープの神様のような人で、よくトム・ウェイツ(Tom Waits)と演奏しています。映画「ブルース・ブラザース」でダン・エイクロイド(Dan Aykroyd)が演じた役は、チャーリー・マッセルホワイトを真似て創作したキャラクターという話もあります。
その後は、シンディがキーボードを弾きながら、All Through the Night、Time After Timeをしっとり歌い上げるのですが、Time After Timeの途中で歌詞を間違えてやり直したり、いくつになっても(ユニクロのCMによると58歳)チャーミングな女性です。
Money Changes Everythingで大いに盛り上がって終了。そして引き続きアンコール。Goonies ‘R’ Good Enough、Girls Just Want to Have Fun とアップテンポな曲が続いた後、三度目のワカバさん登場。
日本で初めて公演した時、日本のお客さんが一緒に歌ってくれた曲です。歌い返して貰うって本当に嬉しいこと。このときのことは忘れません。いつも日本に来ると、日本の皆さんは私を歓迎してくれます。これはヒーリングソングです。東北の皆さんを想って歌います。
そう言って歌い始めたのが True Colors。会場全体が一体となって歌い上げる True Colors は、客席のいたるところから、すすり泣きも聞こえてくるほど、とっても感動的なものでした。
最初から最後までステージ上を元気に飛び回っていたシンディ。会場の熱気で汗ばむほど盛り上げた後はしんみりと締めてくれました。
なお、このコンサートの模様は3月25日(日)の21:00からWOWOWで放送されるそうです。
http://www.wowow.co.jp/yell/cyndi/
[仕入れ担当]