ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督の最新作。スペインが舞台だというし、ガエル・ガルシア・ベルナル(Gael García Bernal)が出るというので、ふらっとレイトショーに行ってみました。
最初はジャームッシュらしい淡々とした展開をのんびり観ていたのですが、「コードネーム:分子」役の工藤夕貴(Youki Kudoh)のシーンを見てびっくり。なんと、ヘレナ・ローナー(Helena Rohner)のホワイトポーセリンのピアスとリングを素敵に合わせている(ご本人のサイトもご覧ください)ではないですか! 最後の方で登場する「コードネーム:ドライバー」役の女優さんが着けていたターコイズブルーの大振りのリングもおそらくヘレナのものでしょう。エンドロールの Special Thanks のところで Helena Rohner の名前を確認し、少々興奮気味で映画館を後にしました。内容的には興奮するような映画ではないのですが……。
それにしても、ヘレナのジュエリーは、シンプルなデザインなのに、一目で彼女の作品と認識できるんですから、さすが国際的な人気を博しているだけのことはあります。以前、このブログで書きましたけど、ビルバオ銀行(BBVA)のポスターにジュエリーが使われる等、地元スペインでも評価の高いヘレナ・ローナー。ちなみに、工藤夕貴さんが着けていたピアスとリングは色が豊富で、モナドでも人気アイテムの一つ。今、店頭にはコーラルピンクのピアスが出ています。
さて、話を映画に戻しますと、マドリード(Madrid)、セビリア(Sevilla)、アルメリアのドニャ・マリア・オカナ(Doña maría Ocana)を舞台に繰り広げられるミステリー仕立てのストーリーで、ロードムービー的な要素も多分にあります。ストーリーを楽しむというより、ディテールを通じて知的刺激を楽しむ映画でしょうか。たとえば、キーワード的に登場する「人生は無意味」(La vida no vale nada)がスペインの旧い映画の題名だったり、これも重要なキーワードである「世界で一番偉いと思っている男」(El que se tenga por grande)がセビリアのタブラオで歌われたり、ベッドに横になっているとマヌエル・エル・セビージャノ(Manuel el Sevillano)のPor Compasión: Malaguenasが聞こえてきたりといった具合。
撮影場所も同様で、マドリードでは、トーレス・ブランカス(Torres Blancas)が宿泊場所として登場し、ヒントを得る場所として登場するソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)ではジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)が増築したサイドを何度も通りすぎます。終盤に出てくる要塞のような家は、生前のジョー・ストラマー(ザ・クラッシュのボーカリストで「ミステリー・トレイン」にも出演)に勧められた家だそうですが、この場所を撮影するために、セビリアからアルメリアまで移動させてしまうあたり、ロケーションに対するこだわりは相当なもののようです。
2005年公開の「ブロークン・フラワーズ」から4年ぶりの本新作でも、ジャームッシュ監督独特の映像のスタイリッシュさ(今回はクリストファー・ドイルが撮影を担当)と音楽のセンスの良さは健在でした。ガエル・ガルシア・ベルナル、ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)、ビル・マーレイ(Bill Murray)と、俳優陣も個性派ぞろい。監督自身が世界で一番好きな街と言っているセビリアのタブラオのシーンを観れたのは、ちょっと得した気分でした。
公式サイト
リミッツ・オブ・コントロール(The Limits of Control )
[仕入れ担当]