ロンダに行きたい

スペインを舞台にした映画は数多くありますが、1994年製作の「恋の選択(原題:A Business Affair 監督:シャーロット・ブランドストーム)」もそのひとつです。昨年DVD化されたものを久しぶりに観てみました。

Jonathan ロンドンに住む著名な英国人作家アレック(ジョナサン・プライス:Jonathan Pryce)とその妻で小説家を夢見るフランス人のケイト(キャロル・ブーケ:Carole Bouquet)。モデルのアルバイトをしているケイトに一目惚れするイタリア系米国人ヴァンニ(クリストファー・ウォーケン:Christopher Walken)はアレックが契約する出版社の社長。二人の間で揺れるケイトは・・・と、ストーリーはいたって単純ですが、執筆には苦痛を伴うと信じて疑わない典型的なインテリ英国人アレック vs. 中身よりも売り方(マーケティング)でなんとでもなると豪語する成金イタリア系米国人ヴァンニ、かたくなに万年筆で書き続ける旦那アレック vs. PCで軽快に綴っていく妻ケイト、小雨がちでどんよりと暗いロンドン vs. ケイトが自分探しのために旅立つ陽光まぶしいロンダ、とコントラスト鮮やかな描写が見どころです。

特にロンダの街がとても印象的で、初めてこの映画を観た時は「そうだ、スペインへ行こう!(JRのコマーシャルのようですが・・・)」と、思わずマラガへ飛んでしまったほど。ロンダは寒い冬でも陽光がさんさんと降り注いで気持ち良く、白い家並みと石畳が風情豊かで、いっぺんで好きになりました。街の中心は歩いて回れるほどの規模で、石畳を歩いていると、羊飼いと羊の群れに遭遇したり、とてものどか。ランチで食べた野菜と豆のスープの素朴な味も忘れられません。

ロンダは、マラガから100キロほど離れた山の中にある、断崖絶壁の渓谷の上に立つ町です。ちなみにピカソ生誕地として有名なマラガは、アンダルシアの中心的な街で、国際線が発着する空港があり、対岸はアフリカ大陸のモロッコ。ロンダは、アンダルシアの街はどこでもそうですが、一度、アラブ人(イスラム教徒)に占領され、キリスト教徒が取り戻した街で、闘牛も街を守るための戦闘要員育成の一環として盛んになったと言われています。また、ヘミングウェイやオーソン・ウェールズが暮らしたことでも知られています。

Ronda_2 映画に出てくるロンダの闘牛場(上のJプライスの写真、左の写真)は非常に歴史あるもので、闘牛博物館も併設されています。中に入ると、歴代の闘牛士たちの写真が映画スターさながらに飾られており、闘牛の国に来た実感がわきます。私は食べませんでしたが、闘牛で仕留められた牛(toro)の肉は近所の食堂で闘牛帰りの人々に供されるそうです。日本人的には、かなり堅いのではないかと思うのですが、地元の人たちは非常に美味しいと言います。ちなみに歌手のマドンナは Take a Bow という曲のミュージックビデオを、このロンダの闘牛場で撮影しています。

次はロンダのパラドールに泊まって闘牛を観るぞ、と思ってから10年以上が過ぎてしまいました。今回、この映画を観直していたら、またロンダへ行きたくなってしまいました。

Carol_2 さて、映画の話に戻りますが、映画「美しすぎて」の主演でも知られるキャロル・ブーケは、この映画の中でもおそろしいほどに美しすぎて、ヘッドホンでクラシック音楽を聞きながら一糸纏わぬ姿で日焼けマシンに横たわっている姿は、この世のものとは思えません。彼女のファッション、特に登場するたびに異なるピアスの合わせ方も必見です。

[仕入れ担当]