映画「クリード 炎の宿敵(Creed II)」

00 3年前に観た「クリード チャンプを継ぐ男」の続編です。特にボクシング好きというわけではないのですが、1作目を観たので2作目も観ておこうかなという感じで行ってきました。ちなみに本作は米国で公開直後、シルベスター・スタローン(Sylvester Stallone)自身が“もうロッキーを演じることはない”とinstagram(ここ)で表明していますので、おそらくこの続きはないでしょう。

主な登場人物は前作と同じで、ロッキー役のスタローン、彼のかつての盟友アポロの息子であるアドニス・クリード役でマイケル・B・ジョーダン(Michael B. Jordan)、その母親メアリー・アン・クリード役でフィリシア・ラシャド(Phylicia Rashad)、アドニスのガールフレンド、ビアンカ・テイラー役でテッサ・トンプソン(Tessa Thompson)とお馴染みのメンバーです。

今回の対戦相手は、アポロをリング上で死に至らしめ、その後、ロッキーがリングに沈めたイワン・ドラゴの息子であるヴィクター。要するに親の敵討ち、因縁の対決です。「ロッキー4」でイワン・ドラゴを演じたドルフ・ラングレン(Dolph Lundgren)とその妻ルドミラ・ドラゴを演じたブリジット・ニールセン(Brigitte Nielsen)がそのままの役で登場する他、ヴィクター・ドラゴ役でボクシング経験があるドイツ生まれのルーマニア人俳優フローリアン・ムンテアヌ(Florian Munteanu)が出ています。

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映画の始まりは、ウクライナで厳しいトレーニングを積み、薄暗いリングで勝ち上がっていくドラゴ父子。続いて、華やかなWBCチャンピオンシップの場面。前作で愛車のコルベットを賭けて挑み、あっけなく叩きのめされたアドニス・クリードが、今回はダニー・ウィーラーを破ってのチャンピオンベルトを奪取します。そしてビアンカ・テイラーにプロポーズ。父親の形見だったコルベットを取り戻し、ビアンカの妊娠もわかり、順風満帆のアドニスです。

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そこへドラゴ父子からの公開挑戦状がたたきつけられます。ロッキーの店“エイドリアン”にイワン・ドラゴが訪れ、ホームのソ連で敗北を喫して苦渋をなめたと恨み節を語ります。勝ったオマエは英雄だが、自分はすべてを失い、妻も去って行ったというわけです。ちなみに彼の妻ルドミラを演じたブリジット・ニールセンは、「ロッキー4」公開後にシルベスター・スタローンと結婚していますので(3年ほどで離婚)、妻が去ったというのはある種の楽屋落ちなのかも知れません。

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ロッキーが反対する中、アドニスはドラゴ父子の挑戦を受けることに決めます。ロッキーの協力は望めませんので、アポロとロッキーのトレーナーだったトニー“デューク”エバースの息子、リトル・デュークの元でトレーニングを開始。しかし守るもののないヴィクターに対し、アドニスは守るものが増えすぎました。リング上で半殺しの目に遭い、周囲はアポロの悪夢を思い出すことになります。ダウンしているアドニスにパンチを見舞ったということでヴィクターは反則負けとなり、チャンピオンベルトは渡さずに済みましたが、闘いという観点からみれば大敗北です。

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身体をボロボロにされ、すっかり自信を失ったアドニス。心ここに非ずといった感じで、ビアンカといても心を開くことはありません。そんな彼を心配したメアリー・アンが、フィラデルフィアからロッキーを呼び寄せます。そして王座防衛戦をヴィクターとの再試合に決め、二人でニューメキシコに籠もってトレーニングに励みます。

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クライマックスはもちろんアウェイでのタイトルマッチ。「ロッキー4」の再現です。観客席の様子はアンソニー・ジョシュア対ジョセフ・パーカーの試合(Youtube)でロケをしたというだけあって、場内の盛り上がりにも迫力があります。結末を予想できても、思わず引き込まれてしまいます。

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個人的には、相手役のヴィクター・ドラゴの方に感情移入してしまいました。アドニスもヴィクターも親に認められたい一心でボクシングに取り組むわけですが、無口で我慢強いヴィクターの目線が切なくて、エンディングを観ながら“良かったね”と声をかけたくなりました。

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そういう意味で、うまい結末だと思います。またロッキーもバンクーバーに行き、細かい伏線はすべて回収したと思います。前作を手がけたライアン・クーグラー(Ryan Coogler)監督が「ブラックパンサー」の大ヒットで参加できなくなり、あまり実績のないスティーヴン・ケープル・Jr.(Steven Caple Jr.)が監督を務めた本作ですが、彼もこれを足がかりに一線に躍り出られると良いですね。

公式サイト
クリード 炎の宿敵Creed II

[仕入れ担当]