アメリカ・ボストン美術館がコレクションする古代エジプト美術、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術から選りすぐりの傑作品80点を出展し、収集した人物や作品にまつわるストーリーと合わせて紹介しています。
砂岩でつくられたツタンカーメン王の頭部から、エジプト南部で出土した金と紅玉髄の首飾り、陳容の九龍図巻、モネの睡蓮、ゴッホのルーラン夫妻、アンディ・ウォーホルのジャッキー、サム・テイラー=ジョンソンのサイレントフィルムまで、見どころは数々あるのですが、やはり!一番は日本初公開となる英一蝶の「涅槃図」で決まりではないでしょうか。先月観たタイ展(こちらで紹介)で涅槃像が自分の守護仏と知り贔屓目でみているのかも知れませんが、、、それを差し引いても必見です!!
この仏画を入手し美術館に寄託したのはアーネスト・フランシス・フェノロサ氏。彼は1878年に来日し東京大学で哲学などを講じるかたわら、日本美術の研究や収集に没頭し、岡倉天心らと共に東京美術学校の設立にも尽力した人物です。
作品の高さは2.9メートル、幅は1.7メートルととても大きく、亀裂や汚れ、糊離れなどの劣化もひどかったため、アメリカでも25年以上前に1度公開されたきり展示されることが無かったそう。本展のために1年がかりで解体修理を行い、その様子を映像で紹介していますが、再現した色を6ヶ月もかけて乾燥させたことに驚きました。
悟りに入る釈迦を中心に、嘆き悲しむ菩薩や羅漢を鮮やかな色で描いています。手前には、仰向けにひっくり返った白象や寝転がる獅子、猿やイノシシの親子、スズメやトンボ、カニまで歩いていて、登場人物が多く観飽きることがありません。
夏休みで混雑していますが、時間をとってじっくり観てみてください。日中よりも夕方あたりに行かれると人が少なめ(展覧会Twitter情報)で良さそうです。
ボストン美術館の至宝 展
http://boston2017-18.jp/
2017年10月9日(月・祝)まで
[店長]