買付け先のパリで観てきました。ひときわ目を引くガラス張りの建物、カルティエ現代美術財団で開催中の森山大道の写真展。2003年以来12年ぶりの開催だそうです。
最初のセクション「TOKYO COLOR」は、過去20年間の活動の中で、あまり知られていない作品を中心に集めたもの。軽薄な色や被写体が目立つ86枚のデジタルカラー写真はとても官能的です。
下の写真は会場内を写したものですが、街角のポスターや看板を眺めるように作品が観られる展示方法を気に入っていると、ご本人がインタビュービデオ(こちら)で話していました。
2つめのセクションでは、本展のために撮られた新作「DOG AND MESH TIGHTS(犬と網タイツ)」が観られます。2014年7月から2015年3月にかけて、東京、香港、台北、アルル、ヒューストン、ロサンゼルスの街角で撮影された、すべて縦位置のモノクロ写真291枚です。
占い師や若者たちの会話、駅や宣伝カーなど日本の日常を音源にしたBGMを聞きながら、4つの大きな画面で流れるスライドショーをみていると、時代や場所の感覚がずれていきます。昭和の風情が漂うモノクロ写真はどれも東京のにおいがして、あとで確認するまで世界各国で撮られたものだとわかりませんでした。
普段は見過ごしたり、聞き流したりしているものを改めて確かめてみる面白さを感じさせられる展覧会です。森山大道というレンズを通して写し出された、もうひとつの東京が楽しめます。
DAIDO TOKYO
2016年6月5日(日)まで
パリ・カルティエ現代美術財団
Fondation Cartier pour l’Art Contemporain
[店長]