映画「トゥルー・グリット(True Grit)」

Tg0 2010年アカデミー賞で話題を集めた西部劇です。主演男優賞のジェフ・ブリッジス(Jeff Bridges)をはじめ、助演女優賞に新人のヘイリー・スタインフェルド(Hailee Steinfeld)、作品賞や脚色賞など多くの部門でノミネートされながら、いずれも受賞できず、日本公開も震災直後で今ひとつ盛り上がらなかったような気がしますが、良質な映画だと思います。

監督はコーエン兄弟(Joel Coen、Ethan Coen)。40年前のジョン・ウェイン(John Wayne)映画「勇気ある追跡(True Grit)」のリメイクですが、コーエン兄弟初の西部劇とのこと。ちなみにジョン・ウェインは40年前にこの映画でアカデミー主演男優賞を獲得しています。

西部劇ですからストーリーはシンプルです。ひと言で言えば、14歳の娘、マティ・ロスが父の仇討ちをする物語。しかし、コーエン兄弟の映画ですから、一筋縄ではいきません。気持ちがざわざわするような、奇妙な後味があります。

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使用人のトム・チェイニーに殺された父親の遺体を引き取るため町に向かったマティ。父の仇討ちのため、ベテラン保安官のルースター・コグバーンを雇って、インディアン居留地に逃げ込んだチェイニーを追います。そこに別の容疑でチェイニーを追ってきたテキサス・レンジャーのラ・ブーフ(La Boeuf)が加わり、3人で旅をすることに……。

オーディションで15,000人から選ばれたという少女、ヘイリー・スタインフェルドの魅力もさることながら、やはり見どころは保安官役のジェフ・ブリッジスの演技でしょうね。

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前回のアカデミー賞で主演男優賞を獲得した「クレイジー・ハート」に引き続き、馬上で常に酒瓶を握りしめているアル中の役なのですが、これが地なのではないかと思うほど、すっかり、酔っ払いがはまり役になっています。

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連邦保安官のルースター・コグバーンはTrue Grit(真の勇気)を持つ男。相手を容赦なく撃ち殺したり、死体を使って取引したりと、非人道的なことをしながら、人情味豊かに見えるのは、ジェフ・ブリッジスの演技力あってのものだと思います。

マット・デイモン(Matt Damon)もラ・ブーフ役でなかなか好演していたと思うのですが、ちょっと地味な役回りでした。ジェフ・ブリッジスとヘイリー・スタインフェルドに呑まれてしまった感じです。

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敵役のチェイニーを演じたジョシュ・ブローリン(Josh Brolin)は、コーエン兄弟の「ノーカントリー」でハビエル・バルデムに追われる役を、ガス・ヴァン・サント監督の「ミルク」では、ショーン・ペン演じるハーヴィー・ミルクを射殺する議員を演じた人。ダイアン・レイン(Diane Lane)の再婚相手でもあります。

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コーエン兄弟としては初の全米興行収入1億ドルを突破したこの映画。米国でヒットしただけあって「ファーゴ」や「ノーカントリー」のような重苦しさはありませんが、随所にコーエン兄弟らしさが折り込まれていて、思っていた以上に見ごたえがありました。じっくり映画を観たいときにお勧めです。

公式サイト
トゥルー・グリットTrue Grit

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