600年にわたって栄華を誇り、ヨーロッパの芸術文化を支えたハプスブルク家のコレクションが上野・国立西洋美術館に来ています。
政略結婚と武力を巧みに用いて王家に多大な財をもたらした神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世にはじまり、68年にわたって在位し今のウィーンを整備した王家最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世まで、欧州の命運を左右したハプスブルク家の歴史と、そのコレクションを紹介する展覧会です。

ベラスケス、レンブラント、ティントレットなど巨匠の名画が並ぶなか、赤いベルベットで縁取りされたファッショナブルな甲冑や、銀の装飾をほどこしたヤシの実やほら貝の水差し、金とルビーがきらめく水晶のスプーンやフォークなど、本展では特に武具や工芸品に見惚れました。
80を超えるパーツからなる甲冑は、会場に4体あり、その威風堂々とした立ち姿に圧倒されます。武勇に秀で、生涯で27の戦場に立ったというマクシミリアン1世が着用したものはすらりとしていて、背が高くスタイル抜群だったことが伺えます。ほかにカーニバルの槍試合用に使われたという、口をへの字に曲げ困ったような顔がデザインされた兜などもあります。

透かし模様が見事な金線細工のかごや、神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの肖像を彫刻した宝貝の小箱、イエローダイヤモンドが輝くフリントロック式のピストルなど繊細で贅が尽くされた美品の数々は必見です。
ハプスブルク展
https://habsburg2019.jp/
2020年1月26日(日)まで
[店長]