ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展

1950年代にニュヨークで活躍した写真家 ソール・ライター(Saul Leiter)の日本初の回顧展だそうです。昨日、映画をご紹介したロバート・フランクと同時代のアメリカを代表する写真家だそうなのですが、私はこの展覧会で初めて知りました。

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窓越しやフェンス越しに撮るスタイルが印象的で、重層的な構図が独特です。

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ニューヨークで画家を目指していたソール・ライターですが、アンリ・カルティエ=ブレッソン(Henri Cartier-Bresson)の作品に触発されて写真を撮り始め、ハーパース・バザー(Harper’s Bazaar)誌などでファッション写真の仕事をしながら、自身の作品を撮りためていきます。

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そのほとんどがニューヨークの自宅周辺で撮られたものばかり。"It is not where it is or what it is that matters but how you see it"(大切なのは場所や被写体ではなく、自分がどう見るかだ) と語っています。また、"Seeing is a neglected enterprise" の言葉に、軽んじられがちな「見る」という行為をとても大切にしてきた写真家だということが伝わります。

この展覧会では、そんなソール・ライターの200点以上の写真作品が見られます。

前半はモノクロ、後半からカラーという構成なので、撮った時代が違うのかなと思ったら、同時代の撮影でちょっと驚きました。随分と見え方というか、印象が違うものですね。

カラーフィルムが高価だったこともあり、期限切れのカラーフィルムを使って撮影していたようですが、だからでしょうか、なんとなく柔らかい感じがします。

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モノクロは芸術写真、カラーは商業写真と、カラーを格下にみる風潮があり、発表の機会がなかった多くのカラー作品をドイツの出版社 シュタイデル社が見出し、 "Early Color" と題した写真集にしたのがきっかけでソール・ライターの評価は一気に高まりました。

カラー写真を芸術の域に昇華させた先駆者として知られるウィリアム・エグルストン(William Egglestone)のカラー写真が New Color と呼ばれていたことに対比させたネーミングも素晴らしいと思いました。

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6月17日(土)まで、「ソール・ライターのような写真を撮ろう!」フォトコンテストという面白い企画が実施されてます。写真を撮って、ハッシュタグを付けて、投稿するだけのようです。ちょっとチャレンジしてみたくなりますよね。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_saulleiter/topics/instagram.html

ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_saulleiter/
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2017年6月25日(日)まで *6月6日(火)は休館
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

[仕入れ担当]