映画「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」

00 去年の秋、東京藝大で開催された「ロバート・フランク & シュタイデル展」のブログ(こちら)に記したように、公開をとても楽しみにしていたドキュメンタリー映画です。

インタビュー嫌いで有名な写真家ロバート・フランク(Robert Frank)の素顔に迫ったこの作品の監督は、彼の映像作品の編集を長年担当してきたローラ・イスラエル(Laura Israel)。撮影は「ヴァージン・スーサイズ」や「今宵、フィッツジェラルド劇場で」、トッド・ヘインズ監督の「エデンより彼方に」や「キャロル」で知られるエドワード・ラックマン(Edward Lachman)が担当しています。

ロバート・フランクはよく知られているように、23歳でスイスからNYへ渡り、ファッション誌などで活躍した後、グッゲンハイム財団の資金を得て撮影の旅に出ます。このときの写真をまとめたのが「The Americans」。当初は米国嫌いの移民の視点だと酷評されたこともあったそうですが、その後、繁栄に湧く米国の光と影を捉えた画期的な作品集と高く評価されるようになります。

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これでロバート・フランクは一躍有名になり、展覧会のブログでも書いたように、作品が高額で取引されるようになります。その反面、私生活では愛娘を事故で失い、その後、息子も失うという悲しみを経験することになります。

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それでもユーモアを失わない心の強さが彼の作品の底流にあるような気がします。いい写真を撮る秘訣は?と訊かれた際、“Sharp, number one. Make sure they see the eyes, hopefully the nose, smiling, say cheese"(ピント合わせが第一。そして相手の目を見て、できれば鼻をみて、笑顔で「チーズ」と言うんだ)と答えるシーンはとってもチャーミングです。

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続いて"The main thing: Get it over quick. Get people when they’re not aware of the camera. Usually the first picture is the best"(ポイントは素早く撮ること。カメラに気付かれる前に撮る。たいてい最初の1枚がベストだ)と言うのですが、冗談めかしながら人物撮影の極意を伝えるあたりに彼の人間性が滲みます。

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映画では、彼の知られざる私生活を捉えながら、1960年代から現在まで続くさまざまな活動を見せていきます。さまざまなアーティストとの交流や、さまざまな映像作品も見どころですが、何よりも驚くのが90歳を超えて元気に活躍していること。

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現在もカナダ東部ノヴァスコシア州のマブー(Mabou)で暮らすロバート・フランク。映画の終盤で監督にこう言っています。“The best way to be is to be curious, stand up, keep your eyes open, don’t shake, don’t blink”(好奇心を持ち続けることが大切。立ち上がってよく見ること、ブレてはいけない、瞬いてもいけない)。

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公式サイト
Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代Don’t Blink – Robert Frank

[仕入れ担当]