南極・昭和基地の変遷を、最初に開設した1957年から紹介していく展示です。
手探り状態で行われた初めての南極建築は、夏の2ヶ月たらずのあいだに建築の素人である観測隊員が行うという条件で考えられたものです。日本初のプレファブ工法が試され、断熱と強度を持つ木質パネルを組み立てたシンプルな箱型の基地が建てられました。
南極建築において、観測船の大きさはとても重要。初代「宗谷」は厚い氷に閉じ込められてソ連船に牽引してもらったこともあるそうですが、大型に進化した現役の新「しらせ」は、輸送量が1100トンあり、70棟の建物をつくれるようになったそうです。船内で出た汚水を浄化処理して海へ排水するなど環境にも配慮されているとか。
展示物の写真や模型の横にあるモリナガ・ヨウ氏のイラストが、建物の特徴を楽しく解説してくれます。たとえば、自然エネルギーを活用するための集熱パネルが屋根ではなく壁に取付けられているのは、南極の低い太陽の位置に合わせているため。
また、狭い空間で長く共同生活を送る隊員たちは、気分転換のために季節のイベントを大切にしていて、除夜の鐘をドラム缶や廃品ボンベでつくったり、気分を盛り上げるため紅白幕を大事に使っているといった暮らしぶりも垣間見えます。
トイレやお風呂事情、基地で行われた歯の治療など、貴重な写真資料で知ることができます。
終盤にある約30分の記録映像も必見です。
会期終了まで日がありませんが、たっぷり時間をとって観にいかれてください。
南極建築 1957-2016
http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_003630.html
2017年5月27日(土)まで
[店長]