アニー・リーボヴィッツ「WOMEN:New Portraits」世界巡回展

先週末から東京・東雲で開催されているアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)の世界巡回展を観てきました。

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最後に彼女の写真展を日本で観たのは新宿三越美術館があった頃ですから20年以上前のこと。ずいぶん昔ですね。

アニー・リーボヴィッツと言えば、ハリウッドセレブのポートレート写真やルイヴィトンの広告写真などが有名ですが、今回のロンドンを皮切りに世界十都市を巡るこの写真展では、題名が示すとおり、新しい女性像がテーマです。

パートナーだった故スーザン・ソンタグ(Susan Sontag)と共同制作した WOMEN から始まり、今も現在進行形のプロジェクト。国も背景もさまざまに異なる女性たちのポートレートを紙焼きと巨大なスクリーンで見せていきます。

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個人的に目を引いたのは、紙焼き写真の中に「ヴァージニア・ウルフの机」があったこと。20世紀初頭の作家ですが、ジェンダーの歴史を語る上で、この人の存在は今も欠かせないんだなと思いました。

また、マララさんやスーチーさんなどと並んで、ケイトリン・ジェンナーさんの写真があったことも「今」を象徴していて興味深かったです。
この方、カーダシアン・ファミリーのお父さんだった人と言えばいいでしょうか。元オリンピック金メダリストでアメリカ男性の鑑のような人だったのですが、昨年、女性に性転換。その女性として生まれ変わった姿をアニー・リーボヴィッツが撮影し、Vanity Fair 誌の表紙を飾って話題になったのは記憶に新しいところです。

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展覧会場の挨拶文で、アメリカのフェミニズム運動をけん引してきたグロリア・スタイネム(Gloria Steinem)が「物事は二元化できない」と語っていますが、今回のアニー・リーボヴィッツの展覧会では性の多様化、現代社会の多様化を感じることができます。

アニー・リーボヴィッツ自身、50歳を過ぎて、スーザン・ソンタグとの間(共に女性です、念のため)に3人の子どもをもうけるなど、新しい形の家族や女性像を自ら体現していて、すごい人ですよね。

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奥のスペースでは、ご自身の写真集の他、影響を受けたと語っているアンリ・カルティエ=ブレッソンやジャック=アンリ・ラルティーグなどの写真集が置かれ、ゆっくりと腰掛けて自由に閲覧することができます。

女性だけでなく、男性にもおすすです。

そうそう、Vanity Fair 誌と言えば最新の The 2016 Hollywood Issue。アニー・リーボヴィッツが、アカデミー賞にノミネートされている女優たちを中心に、世代を超えたハリウッド女優たちを撮影したカバー写真(こちら)が圧巻ですので是非ご覧になってみてください。

そして今日2月28日がアカデミー賞の発表日。と言っても、日本で結果がわかるのは明日の午前中ですが、こちらも楽しみですね。

アニー・リーボヴィッツ「WOMEN:New Portraits」世界巡回展
会期:2016年3月13日(日)まで 11:00〜19:00
会場:TOLOT/heuristicSHINONOME
東京都江東区東雲2-9-13 2F
http://www.ubs.com/annieleibovitz-jp

[仕入れ担当]