映画「最強のふたり(Intouchables)」

Intouchables0 フランスで3人に1人が観た!というキャッチフレーズの通り、誰が観ても楽しめる、人情とユーモアに溢れた映画です。流れるようなストーリー展開で、ひとときも退屈することがありません。

まずオープニング。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの"September"をBGMに、黒人男性が運転するマセラッティ・クアトロポルテが深夜のパリを爆走します。

パトカーに停車させられると、助手席の白人男性が泡を吹き始め、運転者は「障碍者の生命にかかわる」と警官たちを脅迫。警官たちは救急病棟まで先導することになるのですが、泡を吹いたのも、生命にかかわるというのもすべてウソ。パトカーが去るのを待って、2人は何事もなかったかのようにドライブを続けます。

ここまでが導入シーンなのですが、まず、このつかみの良い幕開けでぐっと引き込まれてしまいます。そして障碍者フィリップと介護者ドリスの絶妙なコンビネーションと小気味よい会話。よく練り上げられた脚本をもとに作り上げられた映画だと思います。

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大金持ちの障碍者と、スラム出身の介護者の友情を描いた実話ベースの映画なのですが、障碍者を扱った映画にありがちな、わざとらしいお涙ちょうだいはありません。むしろその反対で、彼らの友情のベースになっているのは偽善を嫌う心。そのおかげで、観ていて居心地の悪い思いをすることもなく、終始、気持ちよく笑えます。

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監督の2人は、介護者役にオマール・シー(Omar Sy)を想定して企画を進め、その後、脚本を読んだベテラン俳優フランソワ・クリュゼ(François Cluzet)から出演の意向を得たとのこと。オマール・シーはこの映画でセザール賞の主演男優賞を獲得していますが、確かに素晴らしい演技です。

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映画のベースになった実話では、介護者男性はアラブ系の方なのですが、オープニングのシーンや、パーティで"Boogie Wonderland"を踊るシーンなど、アース・ウィンド・アンド・ファイアーは黒人男性の方が似合います。そしてそれがドリスの陽気で前向きな人柄、つまりフィリップとの関係を築いていく重要なキーになっていますので、ドリス役はオマール・シーで正解だったと思います。

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ミックマック」に出ていた以外、ほとんど無名に近いオマール・シーですが、最近、どこかで観たような気がしていて、映画の帰り道、この春、EURO 2012で目立っていたマリオ・バロテッリ(Mario Balotelli)だと思い当たりました。かなり似ています。サッカーファンの方なら、きっと頷くことと思います。

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ということで、観る楽しみが減ってしまいますのでストーリーやディテールを書くのは控えますが、エンディングもとても良い感じで、間違いなく温かい気持ちで映画館を後にできる映画だと思います。お勧めです。

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[仕入れ担当]