映画「君を想って海をゆく(Welcome)」

Welcome1すべて彼女のために(Pour Elle)」の、献身的な夫の演技が記憶に新しいヴァンサン・ランドン(Vincent Lindon)主演の映画です。

17歳のクルド難民:ビラルは、故郷から3週間歩いてフランス北西部の街、カレ(Calais)に到着します。目的は恋人のミナが家族と暮らす英国への入国。同郷の難民と一緒にトラックで密入国を試みますが、貨物室内の二酸化炭素検査であえなくバレて失敗します。

イラク国籍のため強制送還を免れて釈放されたビダルはドーバー海峡を泳いで渡ろうと考えます。しかし、山岳民族のビラルは泳げません。公営プールに練習に行き、そこのコーチにレッスンを申し込みます。

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ヴァンサン・ランドン演じる水泳コーチ:シモンは、妻のマリオンと別居して離婚調停中。ボランティアで難民支援を行うマリオンに比べ、シモンの人権意識はそれほど高くありません。偶然に再会したスーパーマーケットでも、難民の入店を阻む警備員に苦情を言うマリオンは、それをなだめるシモンに対しても怒りをぶつけます。

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コーチを始めたシモンは、ビラルの目的がドーバー海峡横断だと気付いて、やめるように警告しますが、ビラルは熱心に泳ぎの練習を続けます。マリオンを理解しようという思いもあって、次第にビダルに同情的になっていくシモン。さて、ビダルは真冬のドーバー海峡を泳いで渡れるのか、というのが映画のあらすじです。

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若干、ストーリー展開が強引ながら、問題意識の高さを感じさせるフランス映画です。英国へ密入国できればバラ色なのか?といえば、ケン・ローチ(Ken Loach)監督が「この自由な世界で(It’s a Free World…)」で、イラクからの不法移民を描いていますが、やはりこの問題は難しいなぁと思います。

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ヨーロッパで暮らす人々にはとても身近な問題なのですが、日本にいると難民の話題に触れることがほとんどありませんので、何よりも週末の映画館が満席だったことに驚きました。それも、特殊な組織にいるような雰囲気の方々ではなく、とても銀座らしい身なりの方々ばかり。

そういえば一昨年、西武百貨店の催事でクリスマスチャリティーとして国連UNHCR協会に協力したのですが、このときもUNHCRのサイトでご覧になったという方が何人かご来店くださいました。日本にも意外に多く、難民に対する問題意識の高い方がいらっしゃるのも知れません。

公式サイト
君を想って海をゆく(Welcome)

[仕入れ担当]