バンクシー展 天才か反逆者か 横浜アソビル

現在モナドがイベント出店中の横浜で大注目。常に話題を提供しづけるバンクシー(Banksy)の作品を集めた展覧会です。

最近も医療従事者を讃えるドローイングや、Black Lives Matterに言及した作品に続くコルストン像に関する主張が世界的なニュースになりましたが、2009年のブリストルミュージアムでの展覧会、2011年にこのブログでも取り上げた映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」などを経て、今やストリートアーティストの枠に収まらない多様な活動を行っているバンクシー。この展覧会では一連の作品をテーマ毎に整理し、その全容を俯瞰的に観られるように工夫されています。

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完全事前予約制ですので、専用サイトで日時指定のQRコードチケットを入手してから会場に向かいます。予約の際、音声ガイドを無料で利用できる「izi.TRAVEL」アプリをついでにダウンロードしておくと便利です。ほとんど解説が記されていませんので、詳しく知りたい方には必須だと思います。

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会場に入ってまず目に入るのがこの匿名アーティストのスタジオ風景。通常は年譜などが記されている場所ですが、正体不明ということでこういう展示になっているようです。床に散らばったステンシル・テンプレートや壁に吹き付けられたスプレーペイントなどを通じて朧気ながら活動の背景をイメージさせます。

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最初のテーマは消費社会に対する風刺で、ウォーホル風の6枚のケイト・モスやショッピングバッグを両手に携えたキリスト像、DESTROY CAPITALISMと書かれたTシャツを行列して買う人々など、苦笑いしてしまうような作品が並びます。壁に大書された”We can’t do anything to change the world until capitalism crumbles. In the meantime we should all go shopping to console ourselves.”という警句で作者の意図を説明します。

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もちろん権力に対する風刺も豊富です。オズの魔法使いのドロシーが武装警官に持ち物検査されているプリント作品のように、今まさに問題になっている自由と安全の議論の核心を突くような作品が並びます。

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この展覧会では、ストリートアートの他、販売用に製作された作品や、blurのアルバム”THINK TANK”のためのアートワークなどさまざまなスタイルの作品が展示されていますが、2017年にパレスチナにオープンしたThe walled off hotelの客室を再現したコーナーは、現地に行って観ることが困難という点で、一見の価値ありでしょう。

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これはNYの高級ホテル、ウォルドルフ=アストリアをもじった企画ですが、同じような言葉遊びで最も有名かつ人気だったのが、2015年に英国で行われていたDismalandでしょう。某テーマパークの名称にDismal(憂鬱)を絡め、消費社会と権力という2大テーマを一気にやっつけてしまうものです。そのイベントからも何点か紹介されていましたが、カボチャの馬車の事故に殺到するメディアを描いた作品は、ここ数ヶ月間のマスコミそのものだと思いました。

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そして、個人的に一番ささったのはこのブレグジットをテーマにした作品。耳障りの良いことを語る政治家が支持を集める今日この頃、添えられた”There’s nothing more dangerous than someone who wants to make the world a better place.”という警句を心しておきたいものです。

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バンクシー展 天才か反逆者か
https://banksyexhibition.jp
2020年9月27日(日)まで

[仕入れ担当]