プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 国立西洋美術館

スペイン王室が収集してきた膨大な数の名画を所蔵するプラド美術館。今までも同館がコレクションするゴヤの名作や小さなサイズの作品に焦点を当てた展覧会(2011年2015年)がありましたが、今回はディエゴ・ベラスケスの作品を中心に17世紀絵画の傑作や当時の画家に影響を与えた作品群を紹介しています。

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1620年代、24歳のときに、6歳年下の若き国王フェリペ4世の肖像画を描き、それ以降宮廷画家として活躍したベラスケス。国王から「ベラスケス以外は私を描いてはならぬ」と言われるほど絶大な信頼を得ていたそうです。飾らない《狩猟服姿のフェリペ4世》、疲れきったローマ神話の戦いの神《マルス》、自身の家族をモデルに描いたといわれる《東方三博士の礼拝》など、誇張した描写ではなく人間らしい表現で作品を描き、西洋美術の歴史に多大な影響を与えています。

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1550年頃に描かれたティツィアーノの《音楽にくつろぐヴィーナス》は歴代国王に愛された絵画の一つですが、敬虔なカトリックの国スペインでは当時「裸婦像はいかがわしい」とされ、焼き捨てるよう命じた国王もいたとか。フェリペ4世は宮廷に特別室をもうけ、限られた人しか鑑賞できないように展示。
そのしきたりはプラド美術館にも引き継がれ、1827年〜38年は裸体画だけを展示した特別室があり、入室を制限していたそうです。政治はまるでダメだったフェリペ4世ですが、ベラスケスを見出し、王室の美術コレクションを充実させた功績は大きかったと言われています。

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ベラスケスの作品は美術館の貸出条件が厳しく、これまで日本の展覧会で観られたのは最高5点でしたが、今回は最多の7点が来日。しかも2メートル超の大きな作品もあり見応え十分です。

プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光
https://artexhibition.jp/prado2018/
2018年5月27日(日)まで

[店長]