革命の動乱期から新しい社会を目指し発展していったメキシコを撮り続けた写真家マヌエル・アルバレス・ブラボ(Manuel Álvarez Bravo)の回顧展です。会期終了まであと1週間、駆け込みで観に行ってきました。
メキシコシティの中心部で生まれ育ったアルバレス・ブラボは、パリの街並みと暮らしを撮影したウジェーヌ・アジェの作品に影響を受け、若い頃から建物のファサードや商店のウィンドウ、メキシコの原野や路上で起きる小さなドラマを中心に撮っていました。ユーモアにあふれた人柄で、言葉遊びや詩的な表現を好み、作品に韻を踏んだタイトルをつけることも多かったそうです。
1930〜40年代、ファシズムから逃れてきた亡命芸術家や知識人を多数受け入れ、国際的な文化交流の場となったメキシコ。アルバレス・ブラボも彼らとの交流を深めました。意気投合して2人展を開いたアンリ・カルティエ=ブレッソンとの書簡の他、後にメキシコ美術界のパトロンとなったマリア・アスンソロや映画監督のセルゲイ・エイゼンシュテインらの肖像写真にも注目です。
賞を獲得し初個展開催のきっかけとなった「ラ・トルテカ」、代表作「眼の寓話」、生と死について問いかける「民衆の渇き」「ストライキ中の労働者、殺される」、晩年の「内なる庭」シリーズなど、1920年代から約70年間におよぶ巨匠の足跡を巡ります。
アルバレス・ブラボ写真展 ー メキシコ、静かなる光と時
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/sp_detail.php?id=sp00179
2016年8月28日(日)まで
[店長]