1938年チェコスロヴァキアで生まれたジョセフ・クーデルカ(Josef Koudelka)は、世界で最も注目される写真家の一人。そのアジア初の回顧展が開催されると話題になっていました。
本展は2002年に初めての本格的な回顧展として、故国チェコ共和国プラハのナショナル・ギャラリーで開催され、その後メキシコやトルコを巡回。東京展では、これまで展示されなかったヴィンテージ・プリントを加えるなど独自の会場構成を行い、初期の作品から最新作まで網羅的に紹介しています。
ジョセフ・クーデルカ氏は12歳のころ、彼が住む村に週に一度パンを届けていた、父親の友人であるパン職人からカメラの手ほどきを受けました。
1958年から1961年の「初期作品(Beginnings)」は、チェコ工科大学で工学を学んでいたときに撮影したものです。プラハのセマフォル劇場のロビーに展示し、1961年にデビュー展を開催します。
その後、1962年から1970年のあいだ、いくつかの劇場や月刊誌『劇場(Divadlo)』のための撮影にたずさわりました。そのときの「実験(Experiments)」や「劇場(Theater)」では、フォルムを強調し極端なハイコントラストでプリントされた写真など、グラフィカルな作品が並びます。
代表的な連作「ジプシーズ Gypsies」は、作品のほとんどが1960年代に、スロヴァキアとルーマニアにあるロマの居留地で撮影されました。7章からなる本展会場で最多の100点ほどが紹介されています。
そのほかプラハの「侵攻(Invasion)」、イギリスに亡命後の「エグザイルズ(Exiles)」、パノラマ・カメラを使いはじめてからのシリーズ「カオス(Chaos)」など、300点近い作品群を観ることができる展覧会です。会期終了まで後わずかですが、訪れてみてはいかがでしょうか。
ジョセフ・クーデルカ展
http://www.momat.go.jp/Honkan/koudelka2013/
東京国立近代美術館:10時〜17時(金曜20時まで)
2014年1月13日(月・祝)まで
[店長]