日曜日から陽がさすようになり、日中は過ごし易くなったのですが、到着した当初は寒くて縮み上がっていました。ということで、先週のお話です。
ホテルの客室に電気ケトルがあったので、日本茶のティーバッグと、もしあれば使い捨てカイロでも買ってこようかと、在留邦人がよく買い物しているという、チャイナタウンのTang Frères(陳氏商場)まで行ってみました。
地下鉄14号線のOlympiades駅がある交差点から高層住宅の方に少し歩き、露天のエスカレーターを上がると、公開空地のような広場に出ます。この一種独特の雰囲気を持つ広場、清岡智比古さんの本によると、オムニバス映画「パリ、ジュテーム」のクリストファー・ドイル(Christopher Doyle)の一編が撮られた場所だそう。確かに、あの短編の微妙にズレた感覚は、この広場あってこそなのかも知れません。
ときおり店舗がある細長い広場を抜けると、突き当たりに春日の真砂市場を何倍も大きくしたようなショッピングセンターがあり、中国製の日常品を売る店やDVD を並べた店が軒を連ねています。その階下がミニ版のTang Frères。隣にも似たようなParis Store(巴黎士多集團)がありますが、その反対に30秒ほど歩くと、工場の敷地のような場所にTang Frèresの本店があります。
結果を言えば、お茶のティーバッグは"日本緑茶"と記された中国茶しかありませんでしたし、使い捨てカイロは見つけられませんでしたが(あったのかも知れませんが、言葉の問題が……)、ボン・マルシェのグランド・エピスリーなどでは味わえない、庶民的な感覚に溢れたスーパーマーケットで、面白い経験でした。
Tang Frèresを出て、さらに北に向かうと、交差点を過ぎた先にPho Banh Cuon 14、通称フォーキャトルズがあります。ベトナム麺のフォーで有名な店ですが、そばまで行くと店の外の席まで埋まっていて、人気のほどが伺えます。
何とか席を確保してもらって、フォーと揚げ春巻を食べてきました。
鶏がらスープに米麺が入っていて、日本人的にはホッとする優しい味です。たっぷりと香菜が添えられてくるところも、ホーチミンの屋台で食べたフォーを思い出させます。
食事を終えて外に出たら、寒空の下、入店待ちの行列が出来ていました。きっと"安くて旨い"ということなのでしょう。
とはいえ、日本のベトナム料理は非常にレベルが高いので、率直に言って、東京からの旅行者がわざわざ行くお店ではないような気がします。錦糸町あたりのお店の方が、たぶん"安くて旨い"と思います。
[仕入れ担当]