ラテンビート映画祭で公開された、カルロス・サウラ(Carlos Saura)監督によるダンス&音楽ドキュメンタリー映画です。
ゲストの挨拶もありませんでしたので取材用の座席もなく、全席が観客用だったのですが、最前列の端までほぼ満席。改めてフラメンコファンの多さに驚きました。
この映画祭のトレーラーで取り上げられているのが、「ペーパーバード」「愛する人」と、この「フラメンコ×フラメンコ」の3作で、それぞれの分野を代表する作品を選んでいるのだと思うのですが、まさに他の2作に匹敵する素晴らしい映画でした。
映画が撮られたのは、セビリア万博の未来館(Pabellón del Futuro)だそうです。特徴ある天井を映していたカメラがフロアに向くと、アンダルシアを描いた巨大な絵画がいくつも並んでいるという印象的な映像で幕開け。
ちょうど客席からステージに向かうように、名画が散見する絵画の間を縫うように進んでいくと、その奥に演奏者が見えてきて、Verde que te quiero verdeの歌が始まり、といった具合に、ぐんぐん引き込まれていきます。
パコ・デ・ルシア(Paco De Lucía)やトマティート(Tomatito)といった有名人から、あまり知られていない演奏家や舞踏家まで数多く登場し、大人数で演奏して踊るものから、歌い手とテーブルを叩く人(パーカッショニスト?)だけというものまで、さまざまなスタイルのフラメンコが次々と繰り広げられます。
いずれも強い個性を感じる出演者でしたが、圧倒的な存在感を発揮していたのは、やはり舞踏家のサラ・バラス(Sara Baras)でしょう。身体に張り付いた深紅のドレスで登場し、ときに優美に、ときに激しく踊る姿には心から魅了されました。
美しい映像と演出のおかげで、終映後にステージを見てきたような錯覚に陥る映画です。この上映時にも、エンドロールの後、映画館が拍手で包まれていました。
※公式サイトなし
追記:2012年2月11日からBunkamuraほかで公開
http://www.flamenco-flamenco.com/
[仕入れ担当]