華麗な英国王室のドラマティックでスキャンダラスな物語を肖像画から読み解く展覧会です。モナドから散策がてら行ける上野の森美術館で観てきました。ロンドンにあるナショナル・ギャラリーの別館で、肖像画専門のナショナル・ポートレート・ギャラリーがコレクションするおよそ90点の絵画、写真、彫刻が展示されています。展覧会ナビゲーターの中野京子氏の著書「名画で読み解くイギリス王家12の物語」が参考図書。人物像や時代背景を紹介しているパネル展示は要チェックです。

15〜16世紀のテューダー朝で、絶対君主の名を欲しいままにしたヘンリー8世は、スポーツ万能で音楽などにも造詣が深くハンサムだったと言われていますが、個人的には首をひねるお顔立ち。結婚・離婚・斬首を繰り返した暴君ぶりがうかがえる冷たい目元に注目です。
その娘、エリザベス1世は、イメージ戦略に長けた人物だったと言われています。顔を白く塗り、大粒のパールをドレスやネックレス、髪飾りにこれでもかとあしらった《アルマダの肖像画》は、女性らしさを強調しつつ威厳たっぷり。宝石のカット技術がなかった当時、黒く光るダイヤモンドと、奴隷たちが命をかけて海に潜って取ってきた天然のパールが最高級の宝石とされていました。

葉巻のようにフォークをくわえているのは、クジラ王子と嘲笑されていたジョージ4世のカリカチュア。宮廷画家が手がけたイケメン風の肖像画と見比べると、より笑えます。

純白のウェディングドレスを流行させたヴィクトリア女王。女王は新しく発明された写真に興味をもち、幸せな王室をアピールするメディアとして活用したそうです。夫アルバート公や子どもたちの肖像を一般に販売することを許可し、名刺サイズのその写真は飛ぶように売れたとか。

現在、エリザベス2世が王位を継承して68年、いまも世界中の注目を集め熱狂させる英国王室に話題は事欠きませんよね。古い話ですが、チャールズ皇太子とダイアナ妃のご成婚では、記念切手を両親に買ってもらった覚えがあり、子どもながらにワクワクしたものです。

本展公式ウェブサイトのこちらにある特別映像「これを見ればわかる! KING & QUEEN 展」や、見どころレポートで予習してから行くと、さらに面白いと思います。
KING & QUEEN 展 名画で読み解く 英国王室物語
https://www.kingandqueen.jp/
2021年1月11日(月・祝)まで
[店長]