街の匂いや記録をとらえたシリーズ作品《絶唱・横須賀ストーリー》でデビューを果たしてから40年におよぶ活動を紹介する写真家・石内都氏の大規模な個展です。
デビュー前に自宅周辺で撮影した《金沢八景》や女性で初めて木村伊兵衛写真賞を獲得した《APARTMENT》など、自身が生活してきた「横浜」の風景や建物を写した作品群から、生きることの意味を問い直す傷跡シリーズ《Innocence》、人の痕跡を写し続ける《ひろしま》まで、約240点の作品が並びます。
数千、数万の粒子で埋め尽くされたモノクロームの作品は圧倒的で見応えありますが、鮮やかなカラー写真も素敵です。
生まれ故郷である群馬県桐生市に残された絹織物・銘仙を撮影した《絹の夢》のほか、2017年に新たに出会った絹シリーズ《Rick Owen’s Kimono》と《Awa Ningyo Joruri》が初公開されています。
一昨年に訪れた写真展「Frida is」(こちらで紹介)でもそうでしたが、個々の展示作品にキャプションはありません。街の思い出や遺されたものに宿っている気配を写し撮った「肌理」のひとつひとつを体感していきます。
上と下の写真は、石内氏の原点《絶唱・横須賀ストーリー》の作品。
同時開催されている同館コレクション展の写真展示室で全55点がご覧になれますので、くれぐれもお見逃しなく。
ミュージアムショップでは、横浜発のタブレットショコラが石内氏の作品のデザインで売られていました。
左はフリーダ・カーロが遺した衣服の写真《Frida by Ishiuchi》をパッケージにした柚子胡椒フレーバー、右は大正・昭和の女性が愛用した着物を撮った《絹の夢》のほうじ茶フレーバーです。
石内都「肌理と写真」展
http://yokohama.art.museum/special/2017/ishiuchimiyako/
2018年3月4日(日)まで
[店長]