フランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)によるインスタレーションです。歴史ある旧朝香宮邸で、そこに関わった人たちや繰り広げられたドラマを想像しながら、音、映像、照明などによる作品を鑑賞していきます。
こちらで開催される展覧会はたびたび観に来ていますが、今回は勝手が違いました。というのも、作品らしいものが見当たらず、いつもは展覧会のために撤去されている家具や調度品が並んでいるからです。不安になりながら本館1階の大広間、客室、食堂の装飾を観てまわっていると、独り言のような、ときには訴えかけるような声が、どこからか聞こえてきて落ち着きません。「さざめく亡霊たち」の話し声に耳を傾けながら邸内を巡ります。
2階にあるこの部屋は、書庫だった場所です。体中に響く作品「心臓音」とともに赤い電球が点滅します。
若宮の居間や寝室だった場所では、段ボールやブリキ、針金などでつくられたオブジェをつかった「影の劇場」を覗き見。子どもの遊びのような仕掛けで、生や死について問いかけます。
新館ギャラリーでは、干し草の香りが立ちこめる室内で、無数の風鈴と木漏れ日が映る「ささやきの森」を鑑賞。さまざまな仕掛けを通じて観る側の五感を刺激する展覧会です。
平日のみ展示会場内の写真撮影が許可されています。
クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス_さざめく亡霊たち
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160922-1225_boltanski.html
2016年12月25日(日)まで
[店長]