ロバート・フランク & シュタイデル展:東京藝術大学美術館

モナドからほど近い東京藝術大学の美術館陳列館で開催されているロバート・フランク(Robert Frank)の写真展をみてきました。

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1995年に横浜美術館で開催された MOVING OUT 以来ですので、本当に久しぶりです。

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そう言えば、今年2月のアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)写真展(こちら)も20年以上前に観て以来でした。どちらも世界巡回展というところも共通しています。

ドイツの出版社シュタイデル(Steidl)とのコラボレーションであるこの展覧会では、作品を新聞用紙にインク・ジェットプリンターで印刷して展示しています。そして構成などを藝大の学生さんたちが手がけたという斬新な企画です。

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展覧会の図録も新聞! 元旦に配達される新聞くらいのボリュームがあって、なんと500円。

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ヘッドラインを飾っているのは、ロバート・フランクが世界的に有名になるきっかけとなった作品集 THE AMERICANS のカバーフォトに使われた写真(白人と黒人がバスの前方と後方に分かれて座っています)です。20代前半でスイスから米国に移住してきて、グッゲンハイム財団の奨学金を受け、全米を旅して撮影しました。

当初は、 "移民"が米国批判の写真を撮ったと非難されたそうですが(大統領選が終わったばかりの今、実にタイムリーです)、記事に書かれているように、このカバーフォトのオリジナルプリントはクリスティーズのオークションで663,750ドル(日本円で約7千万円)という天文学的な高値がつきました。

このように作品が高額で取引されるようになったため、オリジナルプリントを展示する機会が限られるようになってしまったといいます。
今回の展覧会は、若い人にもっと自分の作品を観て欲しいというロバート・フランクの強い思いから生まれた企画だそうで、世界中の教育機関やノンコマーシャルのギャラリーを巡回します。しかも入場無料です。

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1階は最新のポラロイド写真集 SEVEN STORIES を映像作品を交えながらの展示。

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2階は、ロバート・フランクが米国に移住して、ハーパスバザー誌に売り込む際に持参したポートフォリオ、 彼の写真に対する attitude(考え方や姿勢)を変えるきっかけとなった VALENCIA や LONDON / WALES、COME AGAIN、BLACK, WHITE and THINGS、THE AMERICANS といったこれまでの代表的な作品集からの写真の他、全米を旅しているときにあまりにシャビーな格好をしていたため、怪しまれて逮捕されたときの警察の記録も展示されています。

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写真集で興味深かったのは、ベイルートで撮影した COME AGAIN の方眼紙にテープで貼ったような体裁や印刷。実際の写真集は1階で手にとってみることができます。

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新聞には、今月9日に92歳の誕生日を迎えたばかりのロバート・フランクのインタビュー記事も掲載されています。自画像は、彼の奥さんである画家ジューン・リーフ(June Leaf)によるもの。

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来年4月には、ドキュメンタリー映画「アメリカンズ ロバート・フランクの写した時代(Don’t Blink: Robert Frank)」も日本で封切られるようで、こちらもとても楽しみです。

会期が今月24日までと残り少しですが、会期中は無休です。ぜひご覧になってみてください。

ロバート・フランク & シュタイデル展 | Robert Frank- Books and Films, 1947-2016
会期:2016年11月24日(木)まで 会期中無休  10:00〜18:00(入館は17:30まで)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館
http://steidlxtua.tumblr.com/

[仕入れ担当]