さまざまな文明が交じり合い発展してきたアフガニスタンの文化遺産、日本初公開となるシルクロードの秘宝が並ぶ展覧会です。
1979年のソ連侵攻から内戦が激化し、幾度となく略奪・焼失の危機に瀕してきたアフガニスタン国立博物館の収蔵品。館員たちが命がけで守り抜いたおかげで、再び、世界中の人々が目にできるようになりました。
東京国立博物館で開催中の「黄金のアフガニスタン」展でひと際目を引いたのは、第3章で紹介されている遊牧民の王族たちの墓から出土された品々です。
6つある墓のうちの1つに埋葬されていた20〜30代と思われる女性は、身長158センチほどで、それほど大きくありません。イルカをかつぐ人物をかたどった黄金の板を頭に飾り、六花弁形の飾りをふんだんにあしらった丈の長い上着とズボンを着用していたらしく、可愛らしい女性を想像させます。
また30〜40代と思われる女性はレイヨウをかたどった腕輪を着け、20歳に満たない女性はイルカに乗るキューピッドの留め金具を身につけて埋葬されていました。人物や動植物、幾何学模様といった美しい細工に、ターコイズやガーネットなど宝石をあしらった黄金のアクセサリーは見応えあります。
同時に東京藝術大学大学美術館で開催されている企画展「素心 バーミヤン大仏天井壁画」では、2001年タリバンによって破壊されてしまったアフガニスタン・バーミヤン渓谷にあった東大仏の頭上を飾っていた壁画「天翔る太陽神」を原寸大で完全復元しています。
破壊される前の壁画を写したポジフィルムを特許技術で高精細スキャンしてデータ化し、和紙に印刷。それを硬い発泡スチロールに貼りつけ、微妙な凹凸をつくり、表面の形状を細部まで再現したそうです。
貴石のラピスラズリは今もアフガンの名産品。そのラピスラズリで彩色されたというアフガンブルーの大空を翔る太陽神は一見の価値ありです。ぜひ東京国立博物館と東京藝術大学大学美術館をハシゴしてご覧になってみてください。
東京国立博物館
黄金のアフガニスタン 〜守りぬかれたシルクロードの秘宝〜
http://www.gold-afghan.jp/
2016年6月19日(日)まで
東京藝術大学【アフガニスタン特別企画展】
素心 バーミヤン大仏天井壁画 〜流出文化財とともに〜
http://www.bamiyan-hekiga.com/
2016年6月19日(日)まで
[店長]