肉筆浮世絵展 上野の森美術館

上野の森美術館で開催中の「肉筆浮世絵 美の競艶」を観てきました。

肉筆浮世絵とは、量産される摺り物の浮世絵と違い、絵師が絹や紙に直接筆で描いた一点ものです。米国屈指の日本美術コレクターであるロジャー・ウェストン氏が所蔵する江戸時代初期から明治にいたるまでの美人画を中心に、約130点の肉筆浮世絵作品が並びます。

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艶やかな着物も見応えありますが、髷のカタチだけでも数百種類あったというこの時代、女性のおしゃれのポイントは髪型でした。髪飾りは、べっ甲の櫛やかんざしが大人気。中でも模様のない白べっ甲は、とても高価なことから憧れの的だったそうです。

江戸時代後期には、庶民の間で前髪を短く切ることが流行し、ふさふさと風になびく前髪の美人画を観ることができます。

また同じ頃、白くて滑らかな肌に下唇だけ緑色になっている美人画が登場します。高価な紅を幾重にも塗ることで玉虫色に発色する笹色紅が流行し、身分の高い女性たちが好んでつけていたそうです。

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河鍋暁斎が描いた剽軽な一休禅師と凛とした地獄大夫、宮川長春が描いた琉球舞楽を演ずる美少年たち、京都で活躍した祇園井特が描いた太眉の美人画など、50人を超える絵師たちの貴重な作品が一堂に揃っています。

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会期終了の1/17(日)まで休みなく開館。平日の午前中でも少し混雑していましたので、たっぷり時間をとって観に行かれると良さそうです。

肉筆浮世絵 美の競艶
http://weston.exhn.jp/
2016年1月17日(日)まで

[店長]