久々のイタリア映画です。ちょっとベタな邦題(原題は“We Can Do That”の意味でさらにベタですが)なので、どうかなぁと思いつつ、たまにはストレートなヒューマンドラマも良いかと思って観に行ってきました。意外に混んでいると聞いていたのですが、ほんとうに満席でびっくりでした。
実話(?)に基づいた映画ということで、ストーリーはとってもシンプルです。舞台は1978年公布のバザリア法によって精神病院(Manicomio)が廃絶され、患者の自立を試みている1983年のミラノ。元患者たちに切手貼りのような軽作業を与えていた病院付属の協同組合に、熱血漢ゆえに所属していた労働組合から異動させられてしまった組合職員のネロがやってきます。
公的機関から与えられる補助的な仕事ではなく、おカネを稼げる仕事を身に付けさせようとするネロ。しかし精神的な疾患を抱えている組合員ばかりですから、なかなか思うようにいきません。それでもさまざまなトラブルを乗り越えながら、一歩一歩、職人として自立する道を進んでいくという物語です。
取り扱っているテーマは、精神病患者の自立というシリアスなものですが、登場人物のキャラクター設定が細かく、イタリア映画らしい人間味あふれる作品に仕上がっています。笑えるシーンもあり、じんわりくるシーンもあり、想像以上に楽しめる映画だと思いました。
ネロ役のクラウディオ・ビジオ(Claudio Bisio)の熱演もさることながら、元患者を演じた役者たちの好演が光ります。それぞれ欠落した部分を抱えながら、力を合わせて前に進もうとする懸命な様子がリアルに伝わってきました。
冒頭にも記しましたが、想像以上に混んでいます。上映館のシネスイッチ銀座は、いまだ先着順に並んで入場する昔ながらの映画館ですので、早く行って座席を指定することができませんし、場合によっては立ち見になってしまいます。特に金曜日のレディースデーは要注意です。
公式サイト
人生、ここにあり(Si può fare)
[仕入れ担当]