いま最も注目を集める画家、ピーター・ドイグ(Peter Doig)の日本初個展を観てきました。スコットランドのエジンバラで生まれ、トリニダード・トバゴとカナダで育ったドイグ。現在はトリニダード・トバゴとロンドンに拠点をおき、それらの風景や映画のワンシーン、広告グラフィックなど多様なイメージを重ねて絵画を描いています。

ドイグの作品は大きなサイズのものが多く、見る距離や焦点を変えると印象が違ってみえます。無数の星がきらめく夜空と湖を描いた《天の川》は、闇夜に照らされた樹木が遠目からはロマンチックですが、近づいて見ると少し不気味。湖面に浮かぶ小さなボートも寂しげです。この小さなボートは、映画「13日の金曜日」のラストシーンからインスピレーションを得たというモチーフで、ドイグ作品にたびたび登場します。

トロントの新聞に掲載された日本のスキーリゾートの広告を参照したという《スキージャケット》は、左右で大きさの違うキャンバスを合わせて制作された不思議な作品です。雪のように見える小さな点は、さまざまな色のジャケットを着たスキーヤー。どこかで見たようで見たことのない風景が広がります。

最後の章で紹介されているのは、ドイグならではの視点で作成された映画ポスターの数々です。こちらもお洒落で見応えあります。

ピーター・ドイグ展
https://peterdoig-2020.jp/
2020年10月11日(日)まで
[店長]