フィンランドを代表するセラミック・アーティスト、ルート・ブリュック(Rut Bryk)の展覧会を観てきました。1940年代初頭から50年ものあいだフィンランドの名窯アラビア製陶所に所属し、作り続けた多彩な作品群より選び抜かれた180点のコレクションが並びます。
アラビアに入所後、ブリュックと技術者たちは、石膏型に線描の絵を彫り込み、そこに粘土を水で溶いたものを流しいれて凸凹のある陶板を作り、凸の線に沿って釉薬を塗り分ける型取りの技法を独自に開発していきます。おとぎ話や人物、動植物や建物をモチーフにしたものが多くあり、本展ポスターにつかわれている《ライオンに化けたロバ》はその代表作。優しさを感じられる線描や、厚みのある釉薬の幻想的な色使いに惹き込まれます。
1950年代後半から、タイルを組み合わせてモザイク壁画のようなレリーフ作品を制作。晩年は、タイルの大きさがどんどん小さくなり、白や黒を背景にして鮮やかな色表現に変化していきます。2cm角ほどの小さなタイルを無数に使った大型作品は圧巻です。
本展のタイトル「蝶の軌跡(Touch of a Butterfly)」。画家で蝶の研究者でもあった父親との思い出が、ブリュックのイマジネーションの源であり大切なモチーフになっています。ところどころにデザインされている蝶を見つけてみてください。
ルート・ブリュック 蝶の軌跡
https://rutbryk.jp/
2019年6月16日(日)まで
[店長]