美術史家・辻惟雄氏が1970年に刊行した「奇想の系譜」がタイトルになっています。江戸時代のアバンギャルドな絵師たち8名、岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、鈴木基一、歌川国芳の代表作を紹介する展覧会に駆け込みで行ってきました。
奇想の起爆剤と紹介されている白隠慧鶴は、15歳のときに出家した禅僧。1万点以上にもなる禅画や墨跡を遺しているそうです。悪そうな顔をした布袋に、真横を向いたとぼけた表情の達磨、すり鉢の中で怯える鬼など、ユーモラスな書画で楽しく仏を伝えています。
醒めたグロテスクと称されたのは曽我蕭白。伝統的な故事をモチーフに、縁起の良い不老不死の仙人や鶴を墨で描き、けばけばしい青や赤、緑や黄色で着色した《群仙図屏風》はサイケデリックで強烈な印象。お祝いのためにオーダーされたものだそうですが、お披露目の機会があったのか疑問です。
本展のために制作された横尾忠則氏の絵画も展示されています。曽我蕭白《美人画》を引用し横尾風に変身させ、歌川国芳のクジラなどをコラージュしたものを油彩で描いたスペシャルヴィジュアルです。展示されている場所は、会場出口の手前エスカレーター脇になりますのでお見逃しなく。
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
https://kisou2019.jp/
2019年4月7日(日)まで
[店長]