10年前に公開されたBBCのドキュメンタリー「アース」の続編です。このブログで4年前にご紹介した「ネイチャー」もBBCの製作でしたが、そのときのプロデューサー兼ディレクターだったニール・ナイチンゲール(Neil Nightingale)が今回はエグゼクティブプロデューサー、アソシエイトプロデューサだったスティーブン・マクドノー(Stephen McDonogh)がプロデューサーを務めています。
また本作は前作とは違い、英国のBBCと中国の上海尚世影業との共同製作で、英語版はロバート・レッドフォード(Robert Redford)、中国語版の「地球:神奇的一天」はジャッキー・チェン(Jackie Chan)がナレーションを務めています。ちなみに中国語版のスクリプトを書いた厳歌苓(Geling Yan)は米国在住の中国人作家で「妻への家路」の原作者。この豪華な顔ぶれからも中英合作という新たな試みに対する中国側の思い入れが伝わってきます。
なお日本語版のナレーションは俳優の佐々木蔵之介さんです。
映画は、地球上で暮らすさまざまな生き物の1日を太陽の動きに沿って紹介していくもので、スタートは夜明けから。
ケニアの草原で獲物を狙うサーバル(ネコ科の肉食獣)などが紹介されますが、最初のインパクトある映像はガラパゴス諸島のウミイグアナでしょう。
陽光を浴びて身体を温めないと自由に動けないというこの生き物。朝から岩場に並んで日向ぼっこしています。その隙間を通り抜けていくガラパゴスヘビにとって、大人のウミイグアナは関心外のようです。
同じ頃、砂地でウミイグアナの子供が孵化します。こちらはガラパゴスヘビの大好物で、砂の中で孵ったウミイグアナは天敵を避けながら安全な岩の上に逃げなくてはなりません。これがなかなか緊迫感のある追いかけっこで、スクリーンを観ながら肩に力が入ってしまう感じです。
午前中、昼時、午後、夕方、夜と、世界中のさまざまな生き物を映像に収めていくのですが、陸地だけではありません。巨大なマッコウクジラの親子も出てくれば、北極海の氷の裂け目を抜けていくイッカクも登場します。
小さい方ではミツバチと闘うエクアドルのラケットハチドリや、ハンガリーのティサ川で短い生涯を終えるモンカゲロウ、ニュージーランドの洞窟で光り輝くヒカリキノコバエの幼虫など珍しい生き物を間近から観ることができます。
中国との共同製作ですから、もちろん野生のパンダも登場します。パンダが竹や笹しか食べないことは知っていたのですが、竹は栄養分が少ないので多量に摂取しなくては身体が維持できず、そのせいで大人のパンダは1日14時間も食事に充てるそうです。つまり起きている間はずっと食べ続けているわけで、ああ見えてもいろいろ大変なんですね。
それから絶滅危惧種のハクトウラングールも登場します。親の体毛は頭が白くて身体は灰褐色、赤ちゃんは明るいオレンジ。夜になる前に絶壁の岩場を駆け上るのですが、落ちないように親にしがみついている赤ちゃんの必死な様子が愛らしくて見入ってしまいます。
これはスゴイ!と思ったのは、ザボドフスキー島のヒゲペンギン。午前中かけて海で狩りをして、腹一杯に小魚を入れて戻ってきた親ペンギンは、荒波に洗われながら急な岸壁をぴょこぴょことよじ上ってきます。残った片親に護られて待つ子ペンギンの元に戻っていくのですが、島の平らな部分に上がると見渡す限りペンギンだらけ。圧巻としか言いようがありません。よく自分の家族を見つけるね、と感心しつつ、ここにテントを張って寝泊まりしながら撮影したというスタッフの忍耐力にも驚愕してしまいます。
こういった驚異的な映像は、ここ数年間で飛躍的に進化した技術の賜とのこと。モンカゲロウを撮ったPhantom Flex4Kというカメラは1秒あたり1000コマ以上の撮影が可能だそうですし、ハクトウラングールを撮った際はRED Epicカメラを8ローター(8プロペラ)のドローンに搭載して飛ばしたそう。ローライトカメラの性能が向上して夜間の映像も格段にきれいになっています。
その他、キリンの決闘や超希少種のピグミーミユビナマケモノなど興味深い映像もあり、ヒグマの毛繕いなど爆笑映像もあり、楽しい1時間半を過ごせます。子どもはもちろん、大人も楽しめる作品です。
公式サイト
アース:アメイジング・デイ(Earth: One Amazing Day)
[仕入れ担当]