中世から現代まで、ベルギー美術の500年をたどる展覧会です。第1章ではヒエロニムス・ボスが描いた奇妙な絵画に魅せられた、いわゆるボス派の画家たちによる15〜17世紀フランドル美術、第2章では19世紀に国家として独立を果たしたベルギーを席巻した象徴派の耽美的な油彩画や彩色写真、第3章ではマグリットをはじめとする20世紀のシュルレアリスムからコンテンポラリー・アートまでが紹介されています。
ボス派の絵画というのは今でいうキモカワ。アイルランドの騎士が語ったという地獄でうける懲罰を描いた《トゥヌグダルスの幻視》や、激怒、怠惰、傲慢、貪欲、大食、嫉妬、邪淫を描いた《七つの大罪シリーズ》など、モンスターや人間の姿を精緻に描写していながら、どことなく可愛らしさを感じさせます。
反教義的な考えを持っていたというフェリシアン・ロップスの《舞踏会の死神》は美しくファッショナブルです。カトリック司祭がミサで着るという最高位の衣装をまとった骸骨が、ハイヒールを履いてダンスを踊っています。
玉虫色に光る昆虫の羽根を無数に貼付けたヤン・ファーブルの《フランダースの戦士(絶望の戦士)》、キリストの磔刑を引き延ばし無限につなげたウィム・デルヴォワの《プレッツェル》、ひっくり返った巨大な頭部と無駄に筋肉質な肉体をもつトマス・ルルイの《生き残るには脳が足らない》などユーモラスな彫像にも注目です。
総勢30名にもおよぶ各時代のスター作家が手掛けた作品約130点がご覧になれます。
ベルギー奇想の系譜 展
http://fantastic-art-belgium2017.jp/
2017年9月24日(日)まで
[店長]