驚きの明治工藝 東京藝術大学大学美術館

台湾のコレクター、宋培安氏が収集した日本の工芸品130点あまりが、上野の東京藝術大学大学美術館でご覧になれます。明治時代を中心に、江戸時代末期から昭和初期までに制作された金工、漆工、陶磁、七宝、染織など、観る人の目をくぎ付けにする精巧で写実的な作品の数々です。

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鉄打出という技法を生み出した名工・山田宗美は、造形の準備に時間をかけ、上野動物園で連日ライオンを観察したり、ネズミの生態をさぐるため物置で何日も筵をかぶって過ごしたりという逸話をもつ人物。出展されているこの壺には、剽軽な表情の動物たちが賑やかに描かれています。

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こちらは山姥をかたどった香炉。中が空洞になっていて、まるで煙草をふかしているかのように山姥の口から煙が出てきます。このまま飾られていると不気味かも知れませんが、煙が出ている状態の写真を観ると思わず声を出してしまう逸品です。

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そして鯉を描いたキセル筒と、美しいアメ色の革でつくられたタバコ袋。鮎をかたどった金具が優美で、いかに洒落た人が愛用していたか想像できます。

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このほか本展の目玉となっている全長3メートルの自在置物の龍や、彩色した木で体をかたどり、脚は銀、羽根は水牛の角でつくられたセミ、天をさす猿、ガマガエルを和やかに掲げる仙人の置物、日本の名勝地を描いたビロード友禅など超絶技巧の名品ぞろいで必見の展覧会です。

驚きの明治工藝
http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/
2016年10月30日(日)まで

[店長]