映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(The Devil's Violinist)」

0_2 当代きってのスターヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレット(David Garrett)が、伝説のヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini)を演じた音楽映画です。

監督は約20年前にゲイリー・オールドマン主演で「不滅の恋/ベートーヴェン」を撮ったバーナード・ローズ(Bernard Rose)ですが、デイヴィッド・ギャレットが音楽監督を務め、楽曲のスコアを書き換えるなど全面的に関わったということで、まさにデイヴィッド・ギャレットの映画となっています。

1831年のパガニーニの英国公演を巡る逸話をベースにした物語だそうです。当時、音楽界の異端児でありながらヨーロッパで爆発的な人気を誇っていたパガニーニを、英国で公演させようと考えたジョン・ワトソン。のらりくらりと逃げ回るパガニーニに手を焼き、手付金などで破産寸前になりながらも、執念でパガニーニ訪英に漕ぎ着けます。

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聴衆を圧倒する超絶技法で悪魔のヴァイオリニストと呼ばれていたパガニーニ。その演奏のみならず、派手な女性関係に批判的な人たちもいて、ホテルではなく、ワトソンの自宅に滞在することになります。そこで出会ったワトソンの娘、シャルロットが、リサイタルに至る紆余曲折のストーリーに華を添えていきます。

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率直に言ってストーリーは単純です。最初から展開が読めますし、パガニーニを成功に導くウルバーニが、メフィストフェレス的な役回りだということにもすぐ気付きます。つまり、原題の“悪魔のヴァイオリニスト”に因んでか、「ファウスト」の枠組みで物語を作っているわけで、そういう意味でもありきたり。

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しかしそんなことは、この映画では何の問題でもありません。観るべきは、ロンドンでのリサイタルシーン。聴衆の期待を限界まで盛り上げて登場するパガニーニはさながらロックスターの趣きです。“La campanella”や“Io Ti Penso Amore”といった名曲の数々が演奏されると、あたかもコンサートホールにいるかのような気分になります。

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そして、彼のイケメンぶり。つい先日までカバーニのプレーとビジュアルに魅了されていた私ですが、すっかりパガニーニに気持ちが切り替わりました。

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それはそうと主演のデイヴィッド・ギャレット、ドイツ系の米国人なんですね。お母さんは元バレリーナということで美人なのですが、お父さんはいたって普通のドイツ人で、両親のどこにもラテン系の遺伝要素は見受けられません(写真)。どうしてこんな風貌の息子が生まれてきたのか、もしや悪魔と取り引きしたのか、ナゾが深まるばかりです。

公式サイト
パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニストDer Teufelsgeiger

[仕入れ担当]