映画「スティーブ・ジョブズ(JOBS)」

Jobs0 前評判があまりにもあんまりでしたので、観に行くかどうか迷っていたのですが、試写会のお誘いをいただいたので観てきました。

結論を先に言うと、それほどひどくはなかったです。主演のアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)が、歳をとってからのジョブズに似ていないのは仕方ありませんが、歩き方や動作などよく研究していましたし、びっくりするほど声が似ていて、あれはあれでアリかも知れないと思いました。

ただ、良くないのは脚本というか企画。どういう観客を想定して作ったのか、さっぱりわかりません。

細かい説明が全然ありませんので、ジョブズの生涯を知らない人には、なぜリサがジョブズの家でゴロゴロしているのか、そもそもリサが誰なのかもわからないかも知れませんし、アップルコンピュータ時代を知らない人には、ジェフ・ラスキン(Jef Raskin)を冷遇してビル・アトキンソン(Bill Atkinson)を抜擢した逸話に何の意味があるのか、ピンとこないでしょう。

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とはいえ、新たな視点や隠されたエピソードが織り込まれているわけではありませんので、アップルやジョブズに関する知識のある人にとっては、何の目新しさもありません。よく知られた話を映像化して、ダイジェストで見せてもらっただけという感じ。

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ただ、わたし自身は、その昔、マックワールドエキスポでジョン・スカリー(John Sculley)の基調講演を聞いて以来のマックユーザーですので、自分の経験と重ね合わせながら、それなりに楽しめました。

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特に、アメリオ(Gil Amelio)時代。公私ともにMacintoshをフル活用していた私はアップルのニュースを見るたびにヒヤヒヤしていましたので、ジョブズの復帰に期待しながらも、彼がとどめを刺すのではないかと不安になったり・・・。あの頃はいつ吸収合併されてアップルが無くなってもおかしくないと言われていたんですよね。

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それから、ジョブズの名言の一つ「宇宙に凹みを作る」は、いつ聞いても、もっとがんばらなきゃ、という気分にさせられます。

“We’re here to put a dent in the universe. Otherwise why else even be here?”

そんなわけで個人的な思いを語り始めると話は尽きませんが、映画の話に戻れば、これは大学を退学したジョブズがウォズニアック(Stephen Wozniak)とアップルコンピュータを創業し、解任と復帰を経て、ジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)を擁してiMacを送り出す頃までの物語、つまり1970年代前半から1990年代後半までを中心に描いていきます。

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映画の中では、ジョブズが好きだったボブ・ディラン(Bob Dylan)の他、キャット・スティーブンス(Cat Stevens)やREOスピードワゴン(REO Speedwagon)の曲が使われていますので、この時代の音楽がお好きな方なら、より感傷的な気分でジョブズの半生をご覧になれるかも知れません。

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公式サイト
スティーブ・ジョブズJOBS

[仕入れ担当]