私のまわりで密かなブームになっているお伊勢参り。グローバル化された社会で暮らしていると、日本に対する意識が高まるということでしょうか。
「一生に一度はお伊勢さんへ」と言われていますし、来年は遷宮で賑わうでしょうし、ということで、先週、思いきって行ってきました。
ビギナーは基本に忠実に、まずは二見浦の二見浦興玉神社へ。
昔からここで禊ぎをしてから、お伊勢参りをしていたと言われています。大小の岩が夫婦円満の神様だとか。お天気は良かったのですが、風が強くて飛ばされそうでした。。。
そして伊勢市に移動し、外宮(げくう)へ。
伊勢には、天照大御神を祀る皇大神宮(内宮)、豊受大御神を祀る豊受太神宮(外宮)の他、123の神社が点在し、それらを総称して伊勢神宮と呼ぶのだそう。そんな基本的なことを、最近、初めて知ったのですから、困ったものです。
鳥居など、そこかしこに榊が。
外宮はお食事の担当。毎日2回、ここで神様の食事を作り、天照大御神や豊受大御神その他の神様にお供えすると聞きました。手で火を起こして(火を錐り出すというようです)ガスなどは使わずに調理するそう。
小さな鳥居の奥に本殿である御正宮があるのですが、拍子抜けするほど簡素な建物でびっくりしました。中の撮影はできませんし、もちろん奥には入れません。
外宮には、御正宮の他、風宮や土宮といった別宮があり、広い敷地をこのような石段を登ったりして、回ります。
そして1泊し、メインイベントの内宮へは、早朝参拝に参加しました。冬至の朝には、鳥居のあたりから太陽が昇るそう。
非常に寒かったのですが、朝焼けの中、鳥居の前で一礼して、参道の玉砂利を踏みしめると厳かな気分も高まります。
屋根の苔が良い感じなのは手水舎。しきたり通りの手水の作法に従ってお清めです。
近くを流れる五十鈴川のほとりも御手洗場となっていて、かつてはここでお清めするのが普通だったそうです。近くに行ってみると水が澄んでいて、とってもきれいな川です。
同じ聖なる川でも、むかし行ったインドのガンジス川とは大違い。この水なら、沐浴はもちろん、ごくごく飲めます。やはり日本人ですね。
大勢の足音がすると思って振り返ると、朝のお勤めでしょうか、白いお召しものの方々が手水舎でお清めをして、御正宮の方へ進んでいかれました。
そしてこちらが、天照大御神がまつられている御正宮。外宮と同じように、いたって簡素です。
庶民はここまでしか入れませんが、中に入れる人でも参拝場所が3段階に分かれていて、一番奥でお参りできるのは、天皇皇后両陛下だけだそう。そこには、三種の神器のひとつ、鏡があると言われています。
面白かったのは、こちらの荒祭宮。天照大御神の荒々しい御霊の部分だけをこの別宮に祀っているのだとか。地元の人は、新しいことにチャレンジするときにお参りに来るそうで、この朝も、高校生ぐらいの女の子が一気に石段を駆け上がり、真剣な面持ちで何やら祈っていました。
いたるところに、大きな杉の木等があります。
こちらは御稲御倉。穀物貯蔵庫のようなものだそうですが、御正宮とまったく同じ神明造り(サイズは約1/5)になっていると聞いて細かく見てきました。
基礎工事もなく、そのままの地面に柱を立てるそうで、柱が目立ちますが、板壁で支える壁式の構造のため、柱の上端と棟木の間に隙間もあります。地震で倒壊したという記録はないそうですので、簡素な造りの割に丈夫なんですね。
来年は、第62回神宮式年遷宮。すべてのお宮を20年に一度作り替えて、神様のお引っ越しをする儀式です。御正宮は、すぐ隣の敷地に建築中でした。
木造ですので、いつかは建て替えが必要になるでしょうが、それを敢えて20年で作り替えるというルールにすることで技術を継承してきたのです。太古の昔から、とてもシステマティックな考え方をしていたことに驚かされます。
そして、20年経って解体された木材は捨てるのではなく、いちばん長い棟持柱は鳥居となり、壁板は各地の神社で社殿の普請に使われ、いろいろなところにリユース・リサイクルされるそう。今は、世界中でエコブームですが、日本では1300年も前からエコ思想が根付いているのですね。
ほとんど檜で作られた建物は、金具類も最小限で、すべてバラして保管できるそう。昨年の大震災で、東北の多くの神社が被害にあったときも、ここで保管されていた木材が再建に一役買っているとか。素晴らしいですね。
日本人の叡知に触れ、感心しきりのお伊勢参りでした。
もちろんご多分にもれず、おはらい町で赤ふくも美味しくいただいてきました。
[仕入れ担当]