映画「テンペスト(The Tempest)」

Tempest0 シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の映画化です。監督は、映画「フリーダ」や舞台版の「ライオンキング」で知られるジュリー・テイモア(Julie Taymor)。これまでもデレク・ジャーマン(Derek Jarman)やピーター・グリーナウェイ(Peter Greenaway)が映画化してきた作品ですが、今回は主人公のミラノ大公プロスペローを女性に置き換え、名女優ヘレン・ミレン(Helen Mirren)を主役に据えた新しいスタイルの映画です。

主人公の性別が入れ替わっている他は概ね原作通りのストーリー。弟のアントーニオに地位を奪われたミラノ公爵夫人のプロスペラは、4歳の娘ミランダと筏で流されますが、忠心ゴンザーローの計らいもあって生き延び、野蛮人キャリバンを奴隷にして孤島で暮らしています。

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その12年後、ナポリ王アロンゾーが乗った船が嵐で難破して、息子のファーディナンドが行方不明になり、弟のセバスチャン、ミラノ公アントーニオとゴンザーローと共に、この孤島を彷徨うことになります。実はこの嵐、プロスペラの魔術によるもの。これを発端に、妖精のエアリエルの力を借りた復讐劇が展開していきます。

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さまざまな特殊効果を使っていますので、一見、ファンタジー映画のようにもみえますが、基本的には舞台劇を大幅に拡張した感じの映画です。セリフ回しも非常に舞台っぽくて、最初は、ちょっと違和感があります。とはいえ、随所にロック・テイストを取り入れた演出や、アカデミー賞にノミネートされたサンディ・パウエル(Sandy Powell)の衣装、そしてヘレン・ミレンの演技など、見どころいっぱいの映画です。

ロックといえば、王子ファーディナンドを演じたリーブ・カーニー(Reeve Carney)は、舞台俳優でもあり、ミュージシャンでもある人だそう。途中で歌うシーンもあります。

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それから、道化師トリンキュロー役でラッセル・ブランド(Russell Brand)が出ています。歌手のケイティ・ペリー(Katy Perry)とインドの国立公園で結婚式をしたり、彼女にマクリという名前の虎をプレゼントしたり、なかなかネタの多いコメディアンですよね。5月にはケイティ・ペリーのコンサートのために夫婦で来日したところ、成田で入国を拒否され、強制送還されていました。

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あとはエアリエル役のベン・ウィショー(Ben Whishaw)も注目でしょうか。映画「パフューム ある人殺しの物語」で主役を演じていた人ですが、今回はヘレン・ミレン演じるプロスペラとの微妙な関係を、繊細な演技で巧みに表現しています。

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この映画、現在、TOHOシネマズ シャンテで昼夜2回の上映で、レイトショーだと1200円で観ることができます。7月15日〜9月30日まではネット割引(VIT割)100円もありますので、夜の時間が空いてしまったときなど、ネットでチケットを買っていくと1100円と非常にお得です。ヘレン・ミレンが着ていた衣装がロビーに飾られていますので、それもお見逃しなく。

公式サイト
テンペストThe Tempest

[仕入れ担当]